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生理前のイライラや落ち込みとセルフケア

生理前になるとイライラ、無性に腹が立ってご主人、家族に無性に当たってしまう。
非常に憂鬱になったり、テンションがガタ落ちしたりしていませんか?

それは月経前症候群(premenstrual syndrome: PMS) かもしれません。

 

月経前症候群とは月経開始3~10日前に生じるイライラや落ち込み、憂うつなどに代表されるさまざまな症状が出現し、これらは月経がはじまると軽快あるいは消失するものを月経前症候群(以下PMS)と言います。

20代の88%の人にPMSの症状が見られ、発症率の高い順では
イライラ、乳房痛、眠くなる、食欲が増すといわれています。

〈代表的な症状〉
精神症状:情緒不安定、抑うつ、不安、眠気、集中力の低下、睡眠障害
自律神経症状:のぼせ、食欲不振・過食、めまい、倦怠感、頭痛、倦怠感
身体症状:腹痛、頭痛、腰痛、むくみ、お腹の張り、乳房の張りなど
症状はこれらにとどまらず、実に150にも及ぶといわれています。

〈原因〉
はっきりとはわかっていませんが、女性ホルモンの変動が関わっていると考えられています。

女性は男性とは違い、低温期~排卵~高温期~生理と変化する中で、ドラスティックに体内のホルモン環境が変化します。特に高温期の後半には卵胞ホルモンや黄体ホルモンが急激に低下し、その際に脳内神経伝達物質が変動し症状が出現するものと考えられています。脳内神経伝達物質はストレスにさらされた際にも異常をきたしますので、PMSの症状はストレスとも関連が指摘されていますし、ストレス時に出現する症状・反応によく似ているのはこのような理由からなのです。

〈治療〉
西洋医学的治療はピルなどホルモンを使用したり、抗うつ薬や抗不安薬など、また疼痛があれば鎮痛剤などが選択されます。

しかし一般的には、PMSで積極的に上記のお薬やホルモン剤を服用するという人は少ないと思われます。

ではこのような症状の人はそれぞれどのように対処しているのでしょうか

『大学生の月経前症候群(PMS)と日常生活習慣及びセルフケア実態』九州看護福祉大学の研究によると、日常生活に影響するPMS症状を持つ者で、セルフケア実践者は87%であり、その主な内容は、「十分な睡眠」、「気分転換」、「周りに”月経前”と言う」、「お腹・腰を温める」であったとしています。
この中で最も適用されていたのは、『十分な睡眠をとる』であったともされています。

しかし実際にはこのPMSを病気ととらえている人も少ないですし、先の研究(看護大学生の調査)においてもPMSそのものを知らない者は56.7%であったと報告されているのが現状です。

〈ここまでのまとめ〉

生理前のイライラや落ち込み、眠たくなる、食欲増進・低下などはPMSの症状の一つである。
20代の88%の人にPMSの症状が見られる。
実際にピルや精神薬を服用する人は多くない。
むしろセルフケアを実践している人が多いと思われる。

 

さてPMSの症状の強い人はなにより『自分を責めてしまう』ような傾向があります。

『あー、また旦那さんに当たってしまった~』
『あー、また子供に当たってしまった~』

『あー、またチョコレートどか食いしてしまった~』

そしてそれでまた落ち込むの繰り返しではありませんか?

さてここから本題。

鍼灸治療や自宅のセルフ灸でそれを改善しませんか?というのが今回のブログの趣旨です。

当院では妊活さんに鍼灸治療していますが、体調の変化の一つとして、

『ご主人と喧嘩することが少なくなった。』

『イライラするけどその度合いが以前とは違う。』

『イライラするけど自分でコントロールできるようになった』

などの変化を自覚される方が多いようです。つまりPMS症状の軽減がみられているということです。

鍼灸治療では脳内の血流改善や、自律神経の正常化、卵巣子宮などの血流を改善させたりすることでPMS症状が改善するのではないかと考えています。

三陰交などの自宅でのセルフ灸などでも有効な場合が多いのですが、臨床的には首や肩こりが強い人ほどPMS症状が増大する傾向にありますので、鍼灸治療でコリを軽減させておくこ とがポイントです。

 

〈セルフケアのためのツボ〉

PMSといえでども鍼灸学的には症状・体質などで必要なツボは異なります。

共通するツボ(三陰交・次髎・身柱・百会)

イライラタイプ(合谷・太衝)

落ち込みタイプ(照海・関元)

食欲増進タイプ(太白・足三里・中脘)

これらはあくまでも教科書的なツボであり、体やツボの反応を診てツボを決定する必要があります。

したがって、その人それぞれで、必要なツボはことなりますので、鍼灸師に一度必要なツボやお灸の仕方などを指導してもらった後にセルフケアをするとより効果的です。

一度試してみてはいかがでしょうか?

〈さいごに〉

PMSは周囲、特に既婚者であればパートナーにもある程度の理解が必要になりますし、すでに理解されているのかもしれません。

『わかってもらっているから私は良いのよ!』とするのではなく、PMS症状が少しでも軽減・改善するだけで、大幅にパートナーへの負担が軽減されるということを理解しておくことが必要なのです。

なぜならそれでパートナーとずっと仲良しで、しかも、もっと仲良しでいられるからです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

脊柱管狭窄症の鍼灸治療

腰部脊柱管狭窄症とは?


腰部脊柱管狭窄症とは腰椎の椎間孔や脊柱管という場所が狭くなることにより、主に臀部から下肢に神経症状が出現する疾患です。特徴的な症状は歩行時に徐々に神経症状が強くなり、歩行困難になってしまいます。しかし前かがみやかがんだ状態でしばらく休息していると、症状が軽減しまた歩行可能になるます。これを専門的用語で間欠性跛行(intermittent claudication)といいます。


歩行器やショッピングセンターのカートを押しながらであれば歩行可能な場合もあります。

ただし同じような症状を有する疾患に血管が原因の場合もありますので、そちらの検査も行ったうえで診断されることが一般的です。
日本では70才以上で約10%の方がこの疾患で悩んでいると言われています。
なにが問題なのか?
歩行ができなくなるという点で、高齢者の生活の質(QOL)が著しく低下してしまいます点が問題です。また超高齢社会において、ますますこの疾患で悩まれる方は増えることが推測されています。

脊柱管狭窄症の治療

この疾患の治療は手術療法と保存療法とに大別されます。一般的にはまず保存療法が選択され、無効な場合には手術が選択されます。ただし陰部や肛門部への神経障害や筋力低下がある場合には早期に手術が選択されます。保存療法には投薬治療や理学療法などが最初におこなわれ、投薬治療は疼痛を緩和させるものや血流を改善させるものが処方されます。しかしお薬を長期的に服用する副作用の問題も指摘されています。また理学療法は一般的に腰部の牽引療法や温熱療法、低周波療法などがおこなわれますが、その効果は不明です。さてここまで一般的な西洋医学で行われる標準治療を紹介しました。鍼灸治療は先に紹介した保存療法の一つになります。
鍼灸治療と投薬と理学療法の中で、どれが一番効果があるのでしょうか?
東京大学でこれらについて比較検討した論文があります。

腰部脊柱管狭窄症の3つの保存療法の比較研究:鍼治療と理学療法による腰部脊柱管狭窄症の研究
A comparative study of three conservative treatments in patients with lumbar spinal stenosis: lumbar spinal stenosis with acupuncture and physical therapy study (LAP study)

この研究では脊柱管狭窄症によるL5神経根障害を有する患者119名に対して、それぞれ投薬治療、運動療法、鍼灸治療に振り分け、その効果を比較検討したものです。
結果は鍼灸治療が、投薬治療や運動療法に比して優位に改善したと報告されています。
これまで脊柱管狭窄症に対する鍼灸治療が有効であるという報告はありましたが、保存療法の中でどれが一番有効なのかは不明でした。
しかしこの研究により最も優れた効果を示す可能性のある治療法は鍼灸治療であることが示唆されました。

それではなぜ鍼灸治療が効くのでしょうか?

~背骨の狭くなった部分が広がるの?~

そもそも骨棘や靭帯の肥厚、その他の原因により神経の血流障害が起こり、歩行で必要な神経血流が確保できなくなり神経症状が発症するのが脊柱管狭窄症なのです。手術は狭くなった部分を拡げることによって血流が改善し症状が軽減させるという目的でおこなうのです。
鍼灸治療は神経の周囲に刺激を行うことで神経そのものの血流が改善することで症状を消失させることを目的にしています。

脊柱管狭窄症と紛らわしい疾患

脊柱管狭窄症と診断・治療されている患者さんの中で、筋肉の凝り(トリガーポイント)が原因で同じような症状が出ている場合が時々見られます。また両者が組み合わさって症状を増幅させている場合もあります。
そのような場合は神経の血流を改善させる治療にトリガーポイント療法を組み合わせることで、より劇的な効果が得られる患者さんもいらっしゃいます。
筋肉(トリガーポイント)が原因の場合は画像検査には映らないので、丁寧に触診する必要があります。

脊柱管狭窄症と診断された方は、触診で確認ずみでしょうか?

忙しい病院の外来では時間的に困難な場合が多く、この点は鍼灸師でないと鑑別は困難かと思います。
神経の血流を改善すべきなのか?トリガーポイントからの痛みなのか?また混在しているのか?などを理学所見を丁寧に聴取し、治療することで精度効果は増大します。

まず手術ではなく、保存療法で最も効果的だと研究で明らかになっている鍼灸治療を試してみませんか。

まとめ〉

脊柱管狭窄症は一部を除き、保存療法が選択される。
その保存療法でもっとも効果的であるのは鍼灸治療である。
鍼灸治療は障害されている神経の血流が改善することで症状を消失させる。
中には筋肉の凝り(トリガーポイント)が原因のこともある。
画像診断のみではなく触診を含む理学所見を聴取すべきである。
手術を選択する前に鍼灸治療を試みるべきである。

当院の場合
通院頻度は最初の2週間は3回/週の治療が必要となります。その後は2回/週を目安に、3か月程度の治療期間が必要になります。

ただしトリガーポイントが原因として考えられる場合には2回~1回/週で1か月程度で症状は消失するでしょう。

症例集はこちらから

片頭痛と鍼灸治療

片頭痛は日常に支障が出る頭痛です。
鍼灸治療で片頭痛発作の頻度を減らしませんか?
首のこりや肩こりを解消することで、片頭痛発作を起こさないようにコントロールし、日常生活を送りませんか?

さてそもそも頭痛は危険な頭痛とそうでない頭痛にわけられます。
危険な頭痛はくも膜下出血、脳梗塞、脳出血、髄膜炎、脳炎、側頭動脈炎などです。
命に影響のある頭痛ということですね。

当然、鍼灸治療は危険性のない頭痛が対象になります。
臨床でよくみられるのは片頭痛や筋緊張性頭痛といわれる頭痛です。
命に別条のない頭痛とはいえ、どちらも著しく生活の質を落とします。特に片頭痛などは突然の発作で仕事を急遽お休みしなくてはいけないことなどもあり、職場やご本人にもいろんな意味で負担となっているようで、生活支障度の高い頭痛ともいわれます。

一方、筋緊張性頭痛は片頭痛に比してそれほど生活に支障をきたすわけではありませんが、生活が改善されない場合は慢性持続性の頭痛になりやすく、軽度や短期的な場合は市販の鎮痛剤が効果的ですが、重度・遷延する場合はあまり効果がないともいわれています。
また片頭痛もあるが、緊張性頭痛も両方あるという場合もあります。
いずれにしてもご本人にとってはとてもつらいものですが、鍼灸治療はとても効果的だということが研究で明らかになっていますので、それらを少しずつ紹介していきたいと思います。

あなたはどちらの頭痛ですか?片頭痛or緊張性頭痛

片頭痛:『暗い静かなところで横になり休みたくなる頭痛』

発作期間中(疼痛)は感覚が過敏になっているので、動くことで頭痛が強くなる光や音、においなど普段はそうでもない刺激でも耐えられなくなってしまう状態になることもあります。
片頭痛=(頭痛+過敏)=暗いところで横になって休みたくなる頭痛といっても良いでしょう。

もっと詳しく:
片頭痛は若くして発症する場合が多く、10~20代以下で88%が発症します。
70%の患者さんが同様の片頭痛を持った家族がいる。
患者から見て母親が片頭痛持ちなら50パーセントの確率で自分も片頭痛持ちになる。
母親片頭痛→娘70%で片頭痛母親片頭痛→息子30%で片頭痛と女性に多いことがわかります。

判断のポイント

学生のころから頭痛持ち
家族に頭痛持ちがいる
頭痛の時間は72時間以内
発作時入浴やマッサージで悪化
発作時の前兆が有無※前兆がない場合もあります。
光や音、においなどで頭痛がひどくなる、ひびく。
市販の頭痛薬は効かないまたは最初は効いていたが今は無効など。
これらに当てはまる場合は片頭痛の可能性があります。

西洋医学の標準治療

片頭痛の治療は急性期、つまり発作時の治療と予防治療に分けられます。

急性期治療:片頭痛に有効なトリプタン系薬剤(スマトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、リザトリプタン、ナラトリプタン)などを用いることで対処するのが一般的です。

予防治療:頭痛の有無にかかわらず投薬治療を継続し、頭痛発作の頻度、程度を軽減させる治療です。
この症状がない時にも服用するということが、患者さんにとっては少し抵抗があるようです。

特に女性などはなるべくお薬は飲みたくないというのが本音かもしれません。

そこで代わりに鍼灸治療をおこないませんか?というのがこのブログの趣旨になります。

そもそも鍼灸治療は片頭痛に有効なのでしょうか?

実は、頭痛ガイドラインにも記載されているように、鍼灸治療は有効という結果が研究により明らかになっています。
特に急性期よりも予防期に用いる治療法ともいえます。

非発作時に首や肩、頭などの筋肉の緊張を緩和させておくとこで、片頭痛発作の頻度が少なくなります。
これは鍼灸治療により脳内の血流が変化するために、片頭痛発作の頻度が減少するとのことが研究で証明されています。

『なんかこのままいくと片頭痛になりそう~』

できるなら発作が起きる前になんとかしたい。
できるだけ薬は飲みたくない
肩こりなどが普段から強いなどの患者さんは鍼灸治療を試してみてはいかがでしょうか?

また女性ホルモンの乱れが片頭痛の誘因の場合もありますので、女性の性周期や女性ホルモンの知識も必要になります。これは妊活さんでホルモン補充治療をされているかたに頭痛が出現する場合があるのも同じ理屈ですので、婦人科系に強い鍼灸院で治療を受けることがお薦めされます。

当院では1回/週~1回/2週などの通院頻度で通われる患者さんやご自分の体調の変化を察知され、発作の前兆の、そのまた前ぐらいに鍼灸治療を受けられる患者さんもいらっしゃいます。

自分の頭痛が片頭痛なのかを確認し、鍼灸治療でコントロールし楽しい日常生活を送りましょう。

逆子ですと診断されたら

当院は2002年より逆子外来を開設し、おそらく県内で最も多くの症例数を扱った院であるとの自負があります。

そこでこれまでの振り返りのつもりで、そしてこんなことで悩んでいた人も多いですよって裏話も織り交ぜながら、逆子について書いてみようと思います。

さて逆子は『骨盤位』といいます。横向きは『横位』とも呼ばれますがどちらも逆子と同意義として扱われます。

さてなぜ逆子になるのか?の前に、これをまず押さえておきます。

『お母さんのせいではない!』ということ。

これまで『アイスクリームをたくさん食べ過ぎて冷やしたせいでしょうか?』とか、『夏場クーラーで冷やしたせいでしょうか?』などのご質問をたくさんいただきました。
ネットなどでは冷えと逆子と関係あるかの如くの記載があるので、特にそう感じているのかもしれません。

振り返るとアイスクリームをガンガン食べていた人は7~8割ぐらいいらっしゃいました。

だから逆子になったんじゃない?って思われがちなんですが、これは妊婦全体で、逆子ではない人(頭位)と逆子の人とを比較した数字を出さないと意味はありません。

おそらくアイスクリーム消費が全国一位の石川県であるということ、妊婦は体が熱いということから考えると妊婦の人のほとんどが何か冷たいものを口にしているでしょう。
それが普通です。

なので体を冷やした生活をした自分が悪い!ってことはないのです。

では次に原因は何なのでしょうか?

多くはへその緒が赤ちゃんのどこかに巻いていることが原因。
その他、子宮の形の問題や胎盤の位置の問題、へその緒の長さの問題、羊水が多い・少ないなどもあります。

※ただし全く原因が不明なこともあります。これはのちに説明します。

このように原因がある場合でも、エコーで臍帯動脈の位置などにより診察段階で分かる場合もありますが、帝王切開で初めて分かる場合もあります。
過去、原因が指摘されていない患者さんでも、結果へその緒が首や腕、足などに何重にも巻いていた例も多数あります。

ここまでをまとめると、逆子の原因はなんらかの異常がある場合多く、現在の所、お母さんの生活、特に冷えとは関係ありません。

ただしエコー時や帝王切開時にも原因がないにもかかわらず、逆子のままで出産を迎える場合も少なからず存在します。

これは現時点において明らかではないものの、赤ちゃんにとってどうしても下に行けない理由があると考えましょう。逆子でいるほうが都合が良いということです。

頭が下の方が良いのは周囲の大人の都合。主役は子供、赤ちゃんなのです。

こんな例があります。鍼灸治療を数回行いましたが、結局逆子のままだった患者さんの話です。
外回転術をおこない、なんとか頭位に改善されたとのこと。
ただし自然分娩中、胎児の回旋異常により長時間の分娩、危険な状況になったとのこと。

またこんな話もあります。

整体でなんとか頭が下になった。しかし足首にへその緒が巻いていることがわかり、結局、分娩途中で緊急帝王切開になってしまいとても危険な状況だったとのことでした。
どちらのかたも、自身を振り返ると、無理に回さず帝王切開の方が良かったと言われていました。

大事なのは回りやすい環境を整えてあげて、回るのは本人次第。
『回りたかったら回っても良いよ』というぐらいに暖かく見守るぐらいでちょうど良いかもしれませんん。
子育てと同じですよ。

さて次に逆子と診断されたらやってみたら良いこと。

現在多くの病院では
①胸膝位(逆子体操)
②側臥位法のこの2つが指導されます。

①胸膝位(逆子体操)
そもそも逆子体操の目的はなんなのでしょうか?
これは骨盤に赤ちゃんのお尻がはまっている場合を想定し、そこから浮かそうとする目的でおこなう体操です。

したがって、特に骨盤内にはまっていないと指摘されている場合は、あまり意味のない体操ともいえます。
またこの体操は、腰が痛くなる、お腹が張ってつらい、体操後胎動が少なくなるなどとおっしゃられる人も実は多いです。
骨盤に赤ちゃんのお尻がはまっていない場合は、つらい思いをしてまでこの体操をする意味はあまりないということです。
母体がつらいことは赤ちゃんもつらいのです。
したがってこの体操を指導されている場合、母体がつらくならない程度に行うことが重要なのです。

②側臥位法

検診のたびに『右側や左側を下にして寝てください』と指導されます。
なぜこのような寝方を指導されるのでしょうか?目的は何なのでしょうか?

これは赤ちゃんの背中側を上にして寝ることで、赤ちゃんの頭の重さで前転してくれるのではないだろうか?という自然回転を目的に行われるものです。

中には一日中指導された向きで頑張って寝ておられる人もおいでます。
『同じ方向ばかりなので、首や肩や腰が痛くてつらいんです』という声を聞くことがあります。

この姿勢の目的は上述したように、単に『前回りしやすいだろう~』ってことだけです。
※後ろ回りする場合だってあると思いますよ。

しがってこの側臥法も母体がつらい思いをしてまで継続して行う必要はなく、つらくない範囲で行うことが重要なのです。
※夜間睡眠中に回転していることが多いともされていますので、あまり気にし過ぎずに休むことが一番良いのかもしれませんね。

その他にはなにがあるのでしょうか?

ここに鍼灸治療が入ってきます。
鍼灸治療の目的は、子宮動脈の血流を改善させ、子宮筋の緊張を緩和させ、回転しやすくさせるためです。ここまでは実験の結果で明らかになっています。
ただし、上述したように、へその緒が巻いている場合などは、残念ながら頭が下に向くことはありません。
これは言い換えると非常に安全な治療法ともいえます。

昔は、外回転術という手法で、強制的に頭を下にする治療法が頻繁に行われていた時代がありました。
首に巻いている赤ちゃんを無理やりまわしたらどうなるでしょうか?容易に想像できますね。
実際この手技により胎盤剥離など母子ともに不幸な結果になった例が多数あったそうです。
これらのことから現在では外回転術はほとんど行われなくなりました。
現在でも行っている施設もありますが、胎児の心拍などを聴取しながら慎重に行っているのが現状です。
できる医師もすくなくなったということもあります。

鍼灸治療は子宮を柔らかくして、回転しやすい状況を作る治療法ともいえますが、強制的な治療法ではないでの、非常に安全な治療ともいえ、逆子治療の一つとして認知されつつあるのが現状です。

〈まとめ〉

逆子になるにはなんらかの原因がある。
それは現時点の科学で分かることも、分かっていないこともある。
逆子の体操姿勢などは無理しすぎないこと。
環境を整えてあげて、子供の意思を尊重する気持ちが大事。
鍼灸治療は安全なので試してみても良い治療法である。

最後に。

逆子で当院に飛び込んでこられる患者さんのパターンは、
28wでまず最初に逆子と診断されます。
『まだ全然大丈夫なので気にしないでいいですよ』と言われる
30wでまだ逆子。
『まだだいじょうぶですよ。こっちを下にして寝てみてください』と指導される。
32wでまだ逆子。
『張り止め処方され、逆子体操をしてください』と指導される。
34Wでまだ逆子。
『帝王切開も考えましょう。』で、びっくり。
ネットで検索
鍼灸治療開始35w~という方がほとんど。

ポイントは30wでまだ逆子であるなら早めに鍼灸治療を試してみると良いですよ。

原因が不明の逆子でも、もしかしたらこの時期に治療することで改善するかもしれないですから。

クロミッド~排卵誘発剤の功罪~

当院の妊活中の患者さんはタイミングレベルからARTレベルまでのさまざまです。
その患者さんを見ていると、タイミングレベルでもクリニックによって対応(処方)が違うようですね。
妊活って基本はオーダーメイドですので、個人個人といったほうが良いかも知れませんね。

さてこのレベルで押さえておきたいのは誘発剤について。
誘発剤を使用した方が良いのか悪いのか?

ってことで、今更感満載なのですがクロミッドについておさらい。

〈適応〉
第1度無月経・無排卵周期症・PCOSなど
〈臨床効果〉
排卵率60~90%
全体の妊娠率は20%程度とされ排卵率が高い割には妊娠率は低い
※生理の量が少なくなる(子宮内膜の非薄化)
  おりものが少なくなる(頸管粘液の減少)
これらが妊娠率低下の一因とされる。

累積妊娠率のカーブは6周期以降で漸増、12周期投与以降で平坦化
※長期間の投与で効果の得られない時は他の療法を検討すべき。

原因不明の不妊症へのクロミッドの効果についてはその生産率において無治療群・プラセボ群VS治療群とは有意差がないことがメタアナリシスにより示されている。
※生殖医療の必須知識から抜粋

この薬はもともと頸管粘液を減少させて避妊するという目的で開発された薬らしいです。

ってことはクロミッドでおりものが少なくなっている時点で妊娠の邪魔をしている可能性もあるかもしれませんね。
投与には『おりもの』の状態に特に注意が必要な理由はこれですね。

またクロミッドを使用している周期は自然周期よりも妊娠率が低かったとの報告もあります。
子宮内膜が原因で妊娠が成立しない(内膜の質が低下?)可能性があるということ。
着床障害を人工的に作っていることになるってことかもしれません。

〈これまでのまとめ〉
排卵していない場合はクロミッドで排卵させることで妊娠率は上がる。
ただし長期投与においては注意を要する。
統計上は1年以上続ける有益性はなく他の治療を検討すべき。
原因不明の不妊(排卵しているけど妊娠しない)には投与すべきではない。
ってことなようです。

したがって排卵していて周期が一定であれば、誘発剤は当然必要ないということになります。

しかし排卵しているけどクロミッド投与されている人もいますよね。
それはなぜでしょうか?

しかし現実には排卵しているけど妊娠しない患者さんにも投与されている場合、何を狙っているかというと誘発剤の副作用に注目

複数の卵胞が育ちやすいってこと。
つまりARTでも複数移植することで妊娠率があがるのと同様な理屈で複数の卵胞を育てることにより確率を上げようとしてるのだと指摘されています。
(クロミッド投与による多胎確率は7.5%程度。品胎は0.3%)
この率を高いとするか低いとするか・・・

つまり・・・
タイミングレベルにおて原因不明の不妊(排卵しているけど妊娠しない)においてクロミッドを投与する目的は複数(2ヶ程度)の卵胞を育てて妊娠率を上げること。

逆に言うと投与しても単一の卵胞しか育つことができなければ、クロミッドを投与する目的は達し得なかったということになります。

そしてこのように自然に排卵している患者さんにクロミッドを投与しても妊娠率が上がるというエビデンスはない!とのこと。

〈まとめ〉
自然排卵している場合、誘発剤を使用する意味は少ない。
ただし生殖分野はオーダーメイドの治療ですので、エビデンスがないからといってその人にとって無効とも言えません。
したがってタイミングレベルでの誘発剤はいろいろとあるオプションの中の一つ程度の位置づけでよいのではないでしょうか。
そしてその治療法で妊娠しなければ違うオプションを選択すれば良いのです。
その1つに鍼灸治療もありますよ!ということがいいたかったのでした。