クロミッドを理解しよう

当院の妊活中の患者さんはタイミングレベルからARTレベルまでのさまざまです。

その患者さんを見ていると、タイミングレベルでもクリニックによって対応(処方)が違うようですね。妊活って基本はオーダーメイドですので、個人個人といったほうが良いかも知れませんね。

そもそも誘発剤を使用した方が良いのか悪いのか?

しかしそれを考える前に基本的な知識を押さえておきましょう!ってことで、今更感満載なのですがクロミッドについておさらい。

〈臨床効果〉

排卵率60~90%

※生理の量が少なくなる(子宮内膜の非薄化)

おりものが少なくなる(頸管粘液の減少)

これらが妊娠率低下の一因とされる。

累積妊娠率のカーブは6周期以降で漸増、12周期投与以降で平坦化

※長期間の投与で効果の得られない時は他の療法を検討すべき。

原因不明の不妊症へのクロミッドの効果については,

その生産率において無治療群・プラセボ群VS治療群とは有意差がないことがメタアナリシスにより示されている。

※生殖医療の必須知識から抜粋

この薬はもともと頸管粘液を減少させて避妊するという目的で開発された薬らしいです。

したがってクロミッドでおりものが少なくなっている時点で妊娠の邪魔をしている可能性もあるかもしれませんね。これがデメリットになります。

投与には『おりもの』の状態に特に注意が必要な理由はこれですね。

またクロミッド使用している周期は自然周期よりも妊娠率が低かったとの報告もあります。

子宮内膜が原因で妊娠が成立しない(内膜の質が低下?)可能性があるということ。

着床障害を人工的に作っていることになるってこと?

〈これまでのまとめ〉

  1. 排卵していない場合はクロミッドで排卵させることで妊娠率は上がる。
  2. ただし長期投与においては注意を要する。
  3. 統計上は1年以上続ける有益性はなく他の治療を検討すべき。
  4. 原因不明の不妊(排卵しているけど妊娠しない)には投与すべきではない。

ってことなようです。

したがって排卵していて周期が一定であれば、誘発剤は当然必要ないということになります。

しかし排卵しているけどクロミッド投与されている人もいますよね。

それはなぜでしょうか?次にそれを考えます。

排卵はあるけどクロミッドはなぜ?

現実には排卵しているけど妊娠しない患者さんにも投与されている場合、何を狙っているかというと誘発剤の副作用に注目。

複数の卵胞が育ちやすいってこと。

つまりARTでも複数移植することで妊娠率があがるのと同様な理屈で複数の卵胞を育てることにより確率を上げようとしてるのだと指摘されています。

(クロミッド投与による多胎確率は7.5%程度。品胎は0.3%)

この率を高いとするか低いとするか・・・

つまり・・・

タイミングレベルにおいて原因不明の不妊(排卵しているけど妊娠しない)においてクロミッドを投与する目的は複数(2ヶ程度)の卵胞を育てて妊娠率を上げること。

逆に言うと投与しても単一の卵胞しか育つことができなければ、クロミッドを投与する目的は達し得なかったということになります。

自然に排卵している患者さんにクロミッドを投与しても妊娠率が上がるというエビデンスはない!とのこと。

〈まとめ〉

自然排卵している場合、誘発剤を使用する意味は少ない

ただし生殖分野はオーダーメイドの治療ですので、エビデンスがないからといってその人にとって無効とも言えません。

したがってタイミングレベルでの誘発剤はいろいろとあるオプションの中の一つ程度の位置づけでよいのではないでしょうか。

そしてその治療法で妊娠しなければ違うオプションを選択すれば良いのです。

その1つに鍼灸治療もありますよ!ということを紹介がしたかったのでした。

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