好酸球性副鼻腔炎と鍼灸のすすめ

好酸球性副鼻腔炎(Eosinophilic Chronic Rhinosinusitis, ECRS)は、鼻や副鼻腔の慢性炎症を特徴とする疾患です。特に好酸球という白血球の一種が増加し、鼻腔や副鼻腔の粘膜に炎症を引き起こします。この病気は、従来の副鼻腔炎とは異なり、難治性で再発しやすい特徴があります。

【好酸球性副鼻腔炎の主な特徴】

  1. 症状:
    • 鼻づまり
    • 臭いがしない(嗅覚障害)
    • 鼻汁(膿が混じる場合もある)
    • 顔面の痛みや圧迫感
    • 慢性的な頭痛
  2. 病因:
    • 原因は完全には解明されていませんが、アレルギー反応や免疫系の異常が関与していると考えられています。また、気管支喘息やアレルギー性鼻炎などを併発しているケースが多いです。
  3. 診断:
    • 診断は、鼻内視鏡検査やCTスキャンで行われ、好酸球の増加を確認するために鼻汁や血液の検査が行われます。
  4. 治療:
    • 一般的には、ステロイドや抗ヒスタミン薬が用いられますが、症状が重い場合や再発を繰り返す場合には手術が検討されます。しかし、手術後も再発することが多いため、鍼灸などの補完療法も選択肢の一つとして注目されています。

【好酸球性副鼻腔炎の影響】

この疾患は、日常生活におけるQOL(生活の質)を大きく低下させることがあります。嗅覚の喪失や顔面の不快感が続くため、患者の心理的なストレスも増大します。したがって、早期の診断と治療が重要です。

【こんな方に鍼灸がおすすめ】

手術後に再発し、再手術はできるならしたくない。

鍼灸施術により症状が緩和され、臭いなども改善していきます。

ただし完全な回復は難しい、定期的な施術が必要、日常生活の改善が必要など一定条件がありますが、

今よりは快適に生活できるようになります。

下記は症例の報告です。

参考になさってください。

【症例概要】

46歳の女性、自営業を営んでいる患者様が、好酸球性副鼻腔炎を患い、当鍼灸院にご来院されました。主な訴えは「臭いがしない」というもので、投薬や手術を避け、臭覚の回復を目的としていました。

【病歴と治療経過】

この患者様は、令和4年10月に好酸球性副鼻腔炎と診断され、その後手術を受けましたが、再発を繰り返し、最終的に鍼灸療法に希望を託して当院を訪れました。治療では、脾虚(ひきょ)に焦点を当て、脾兪、腎兪、肝兪などの経穴を中心に施術を行いました。

治療を開始した後、ステロイドの使用頻度は顕著に減少し、臭覚の回復が見られる日も多くなりました。風邪を引いた際には一時的に臭いが感じられなくなりましたが、それ以外の期間では症状が約7割程度改善し、患者様のQOL(生活の質)も大いに向上しました。

【施術のポイント】

本症例では、古典的な鍼灸理論に基づき、鼻の不調は脾臓の機能低下と関連するとの説を参考にしました。鍼灸の施術により、全身のバランスを整え、自然治癒力を高めることで、薬物に頼らずに症状のコントロールが可能であることが示唆されました。

【結果と考察】

患者様は手術後の再発が続き、再手術も検討されていましたが、鍼灸療法により症状の緩和と再発の防止が図れました。この結果から、鍼灸療法が好酸球性副鼻腔炎の治療において有効である可能性が示されました。また、有害事象も認められず、安全性の高い治療法として評価できるでしょう。

【結語】

  1. 好酸球性副鼻腔炎の症例に対し、鍼灸療法を実施しました。
  2. 鼻は脾という伝統的な説に基づき、脾虚を中心に施術しました。
  3. 症状が改善し、QOLが向上しました。
  4. 鍼灸療法は、好酸球性副鼻腔炎の治療において試してみる価値のある療法と考えられます。

【鍼灸院にご来院される皆様へ】

もし、鼻や副鼻腔の問題でお悩みの方、特に好酸球性副鼻腔炎のように治療が難しいと言われている方には、当院の鍼灸療法をぜひ一度お試しいただきたいと思います。薬物療法や手術に頼ることなく、自然な方法で症状を緩和し、日常生活の質を向上させるお手伝いができるかもしれません。お気軽にご相談ください。

さらに詳しい情報は、こちらのリンクとよしま鍼灸院 (toyoshima-hari9.com)をご覧ください。

 耳管開放症の鍼灸

耳管開放症にお悩みの方へ、鍼灸療法が持つ自然なアプローチで、耳のバランスを回復しましょう。症状の根本原因にアプローチし、絶え間ない快適さを取り戻します。

〈耳管開放症〉

耳管開放症とは通常は閉じている耳管が何らかの原因で閉じなくなってしまった状態のため、

自分の声が強く響く

自分の呼吸音が聞こえる

耳が詰まった感じがする

耳鳴りやめまい

など様々な症状が出る症状です。上記のような症状➕姿勢によって症状が変化する、横になって寝ると楽になるなどの変化があればその可能性は高いと言われています。原因は明確になっていませんが、首や肩こりがある人に多いことや自律神経が乱れていると、耳管開放症になりやすいとも指摘されています。

〈鍼灸療法のアプローチ〉

鍼灸にできることは大きく分けて3つです。

①耳管の血流を改善させて収縮できるようにする。

②自律神経を調整することで耳管を正常化させる。

③心身の疲労状態、免疫力低下状態を正常化させることで収縮できるようにする。

〈セルフチェック〉
以下のような症状があれば鍼灸療法が適応する可能性があります。




首や肩がこっている


口が開けにくい

舌の周辺がギザギザになっている

鍼灸療法では主に三叉神経領域の経穴が良く用いられます。これは耳管を開孔する口蓋帆張筋の神経支配だからです。また同様に大後頭神経、舌咽神経の末梢の枝が分布している経穴に鍼灸をおこなうと効果があることも報告されています。具体的には『四白、大迎、頬車、天柱、白喉、内耳点』などに鍼灸をおこなうと良いようです。

自律神経の観点でいうと耳管の粘膜にある神経節は自律神経と深い関係があることが確認されています。抗コリン剤という副交感神経遮断するお薬で治癒したのも報告されていることからも自律神経が深く関与している疾患であると言うことがわかります。鍼灸では中耳粘膜の知覚を司る舌咽神経の抹消の枝に鍼刺激を行うこと、自律神経性の不均衡を是正することで耳管収縮を促し血流の改善を目指します。

次に全身状態からこの疾患を考えてみます。

〈心身共に疲れていませんか?〉

耳管開放症の患者さんは心身が疲れている人、強烈なストレスがある人、それが継続している人が多いと報告されています。これを受けて耳症状は心身症の一つであると指摘する研究者もいます。もう一度ご自身の状態を再確認してみてください。当院の患者さんを振り返ってもほとんどの人は発症時期に強烈なストレスがあった、もしくはそれが継続している人でした。ストレスにより自律神経も乱れ不眠、食欲減退、倦怠感などもありました。耳鼻科での治療に難渋している場合はこのようなタイプが多いと考えられます。ストレスによる疲労状態があれば耳局所の治療のみではなかなか改善してきません。

これはそこで鍼灸の抗ストレス作用を利用し全身状態を改善させることが治癒力の向上につながるのです。

耳管開放症による不快な症状から解放されませんか?鍼灸の知識と技術を駆使して、あなたの耳の健康をサポートします。

当院では耳管開放症以外の耳症状に対しても鍼灸施術をおこなっています

突発性難聴・高音部の聴力が改善した症例

【主訴】突発性難聴

【発症】X年3月18日

【現病歴】3月18日に難聴とめまいが出現。3月25日に耳鼻科受診し突発性難聴と診断される。標準純音聴力検査(以下オージオグラム)の結果、高音部の難聴。

ステロイド内服などの標準治療開始。

2日後にもオージオグラム施行。

低音領域の聴力の低下も認めた。

3日後のオージオグラム

低音領域は改善も高音領域は不変とのことで、鍼灸施術との併用を希望され来院された。

【施術目標および計画】

①高音領域の聴力改善

②低音領域の維持

③めまい・耳鳴・耳閉塞感などの付随する症状の改善

1回/週の頻度の施術とする。ただし、聴力改善するまでは2回/週とする。

【施術】

当院の耳疾患標準施術

(頭部・頸部・肩部などへの施術および東洋医学的に脾・腎などの経穴への施術)

スーパーライザーによる星状神経節照射をおこなう。

【経過】

計3回の施術後のオージオグラムで4000Hzの聴力改善。

耳鳴・めまいなど付随する症状は残っているので引き続き施術を継続する予定。

【考察】比較的早期に聴力の改善を示した症例です。聴覚の有毛細胞は血管に近い方から低音領域→高音領域に配列されています。したがって血流の問題もありで高音領域は回復しにくい傾向にあります。耳鼻科医からも高音領域については回復は厳しい旨の説明がなされていました。しかし4月1日時のオージオグラムでは25dBまで改善し、ほぼ正常まで回復しました。また低音領域は正常値のまま安定傾向にあります。うまく回復した症例でした。

とよしま鍼灸院 施術料金

突発性難聴~1週間後から鍼灸を開始したケース~

突発性難聴~発症約2ヶ月後より施術を開始したケース~

メニエール病のめまいと鍼灸(症例)

メニエル病・難聴後に残った症状への鍼灸

メニエール病のめまいと鍼灸(症例)

なかなか治らないめまいや定期的に起こるめまい。

メニエール病と診断されている場合もあれば、診断名がつかないこともあります。

どこに行くにしても、何をするにしても、常にめまいのことを考慮しながらの生活になり大きなストレスとなります。

検査をおこなっても特に異常は無く、患者さん本人はもちろん主治医も困っているようなケースです。

めまい発作が発症している時は耳鼻科での治療が優先です。

しかし真の治療とはめまいの本当の原因を改善させて、発作を起こさないような体、状態にすることだと考えています。

そのめまいの原因にはいろいろとありますが、鍼灸がとても有効な場合があります。

それはめまいの原因が首や肩の凝りの場合です。

このタイプのめまいを『頚性めまい』といいます。

めまい診断のチャートを紹介します。

シリーズ教育講座「原著から今日まで ―代表的疾患の変遷―」

頚性めまい』田浦 晶子より

チャート内の頚部痛とありますが、臨床的には本人に自覚がないことや非常に軽微に感じていることも多いということが注意点です。

また内リンパ水腫が原因のめまいであれば利尿剤や漢方薬などがとても良く効くので耳鼻科医での治療で治癒していると思われます。

したがって標準治療をおこなってもなおめまいが頻発する場合は頸性めまいの可能性が高いです。

当院の鍼灸療法ではこの頚性めまいの原因である首や肩などの筋肉を緩めるような施術をファーストチョイスとしています。

僧帽筋

肩甲挙筋

後頭下筋群

側頭筋

胸鎖乳突筋

などを中心としてこりを探して筋肉を緩めていきます。

ただし筋肉の『こり』はあまり自覚がないことの方が多く、鍼灸師が探してみて初めてとても強い圧痛と共にその段階で初めてこりを自覚する方がほとんどです。

〈セルフチェック〉

以下のような症状があれば頸性めまいの可能性があります。

首が痛む

首や肩がこっている

エラが張っているように見える

口が開けにくい

舌の周辺がギザギザになっている

次に首や肩の筋肉が硬くなっているのかを探りそちらへの施術も同時に行います。

  • 頸椎症などによる筋緊張
  • パソコン作業での姿勢や眼の疲労
  • 顎関節症や食いしばり
  • 偏頭痛
  • ストレスによる交感神経緊張・自律神経の変調
  • 産後の疲労継続
  • 交通事故によるムチウチの既往
  • うつ病などによる頚部筋緊張

このように背景に何があるのかも重要なポイントです。
鍼灸院へ来院される頃はおそらく早くて1ヶ月、ほとんどはそれ以上経過しており、日常生活の質はかなり低下している場合がほとんどです。

〈鍼灸施術における注意点〉

筋緊張は緩和しても頚部からめまいを起こす神経の経路を正常化させるのには一定の期間施術が必要です。
そうすることで徐々に頻度や程度は改善し、消失していくことが多いようです。
また発作期と寛解期を繰り返す場合も多いので一定期間の経過観察および施術期間が必要です。これまで紹介してきたように頸性めまいに関してはかなり鍼灸療法は有効です。

いつどこでめまい発作が起きるかわからないと不安に過ごすよりも鍼灸療法ですっきりしてみませんか?

〈症例紹介〉ほんの一部を紹介します。

【症例1】50才 女性

【主訴】めまい

【現病歴】数年前より数ヶ月に1回の頻度で回転性のめまい発症約半年前から2〜3日に1回のい頻度で発症するようになった。特に起床直後に症状出現し、昼には寛解するという繰り返し。仕事も休職していいるが症状は変化ない各科の検査を行うも器質的な問題はない投薬治療のみで経過観察中

【既往歴】うつ病

【症状および所見】疲れやすい手足が冷える右肩から肩甲骨に疼痛あるも可動域制限はない頚肩部筋緊張圧痛著明→ほぼ全て側頭筋・咬筋も同様→食いしばり腹部臍傍抵抗圧痛著名→瘀血

【施術】頭部鍼通電天柱・風生・太渓・心兪・肝兪・脾兪ー置鍼適宜温灸も併用

【経過】

1回/週の頻度で施術3回目:今週1回めまい出現も程度軽い

4回目:1回だけ軽度めまい以降めまい消失その他の症状に対しての施術継続頚肩部の筋緊張は軽減するも残存。

瘀血や食いしばり傾向になるのが影響していると思われる。

めまいが消失してから頚肩部の凝り感や頭痛を自覚するようになった。

頚部筋からの刺激が前庭系に入力しなくなったものと思われる。
めまいが消失したのでジムでの運動も開始、徐々に体調が回復しているのを実感できているとのこと。
【症例】
65才 女性
【主訴】
めまい
1日中持続しているふわふわするような浮動感。
【現病歴】
約1ヶ月前に急性の胃腸炎発症。
胃腸炎の方は軽快するもその後からめまい感が出現。
苓桂朮甘湯(めまいの漢方薬)服用も変化なく当院へ。
【症状および所見】
首肩の凝り感が強い
胃腸の調子がすっきりしない
観察でも頚部全体の筋緊張が目立つ
肩甲挙筋の緊張圧痛がとても強い
胸鎖乳突筋にもトリガーポイントあり

【施術方針】頸性めまいと判断し頚部の筋緊張、特に肩甲挙筋の緊張緩和を目的とした。

【施術】

肩甲挙筋へ2本鍼施術、スーパーライザー併用

施術後筋緊張が緩和されたので終了。

計2回の施術でめまい症状消失し、予防的に3回目を施術して終了。

興味深いのは頸部の筋緊張が緩和しめまい感が消失したと同時に胃腸の調子もよくなったこと。

自律神経と頸部の関係性が理解しやすい症例でした。

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2023年2月18日 | Category : 耳鼻科領域 | Tag : めまい 治療 石川県めまい 鍼 石川県めまい鍼小松市 | Author : 院長 | Leave a commentEdit

メニエル病・難聴後に残った症状への鍼灸

メニエル病の蝸牛型や突発性難聴になった場合、聴力の回復如何の他に悩ませる症状が耳閉感・音響・耳鳴などの症状です。

時には聴力の低下よりもご本人にとってストレスとなることがあります。この諸症状は聴覚過敏の一つと言われ耳鼻科医での治療は限られています。

『あまり気にしないように』『慣れるしかない』と言われることからも分かります。

鍼灸療法では鍼通電刺激や末梢のツボ刺激、頚肩部を中心として筋緊張部位などへ鍼灸刺激などを行うことで聴覚過敏をいち早く正常化に導くことができます。

また当院ではスーパーライザーによる星状神経節照射を行うことで交感神経抑制、脳血流量の改善を目的に鍼灸療法と併用しています。

鍼灸刺激やスーパーライザーによる脳の変化、正常化は多くの基礎研究で明らかになっていますのでここでは取り上げません。

このような施術を行うことで数回〜2ヶ月程度(個人差、症状による)と自然経過との比較でも明らかに短期間で症状が消失しています。

一般的にこれらの症状は自然寛解するとも言われていますが、数ヶ月単位と長引く場合もありご本人にとっては非常に苦痛な期間を過ごすことになります。

長引くことにより睡眠障害などを引き起こし自律神経系の異常へと発展する場合もあります。

このような症状は鍼灸がとても良く効きますのでお悩みの方はご相談ください。

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突発性難聴~1週間後から鍼灸を開始したケース~

突発性難聴を発症して約1週間後より鍼灸施術を開始できた症例を紹介します。

【症例】55才 女性

【主訴】突発性難聴

【初検日】X年8月16日

【現病歴】

X年8月10日 突然首や肩のこりが強くなるのに気づく。同時に左耳の詰まった感じと腫れぼったい感じを自覚

 8月11日 耳鼻科受診。突発性難聴と診断され入院し、ステロイドパルス療法含む標準治療を受ける。

16日 退院し転医。同日に鍼灸施術との併用を希望され来院された。

左:耳鼻科初診時と右:退院時の聴力

ほとんど変化がないことがわかります。

【施術および経過】

8月16日鍼灸初検

施術:左側頭部、左胸鎖乳突筋部、上背部の筋緊張部位へ置鍼、照海・腎兪へお灸(腎虚体質のため)

8月22日 耳閉感↓腫れぼったい感じ↓

8月29日 先週よりも耳閉感↓、腫れぼったい感じ↓、少し音が聞こえるような気がする

9月2日

9月2日の聴力

ほぼ発症前の聴力に回復し、耳閉感、腫れぼったい感じ、耳鳴、音響など全て消失。

治癒としました。

発症後から退院までの間で聴力が変化していない症例でしたので、どこまで聴力が戻るか不明でしたが回復しました。

9月2日の耳鼻科での診察時のこと、

検査技師『本当に患側である左側の耳に当てました?』

主治医『!???』

2人とも驚いた顔してましたよとのことでした。

みなさんこのように治癒するわけではありませんが、聴力が回復する可能性のある期間ゴールデンタイムは限られていますので、その期間を逃さないようにしましょう。

以下のような症状があれば特に鍼灸の適応です。

首が痛む

首や肩がこっている

エラが張っているように見える

口が開けにくい

舌の周辺がギザギザになっている

入院中のかたは退院後すぐに、通院のみの方はステロイド治療と併用可能です。

なるべく早期に施術を開始することが回復の大きなポイントです。

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耳鳴のメカニズムと鍼灸

耳鳴とは外部からの音刺激がないのに 耳に音を感じることと定義されています。

成人の15%がなんらかの耳鳴を経験し、そのうち20%が生活に支障をきたすほどの耳鳴で悩まされているとされています。人数にすると約300万人になります。

耳鳴には自覚耳鳴と他覚的耳鳴に分類されますがほとんどは自覚的耳鳴です。

他覚的耳鳴には血管音やアブミ骨筋などが原因のことが多いとされています。

そこでここでは一般的な自覚的耳鳴にしぼって紹介します。

【耳鳴の原因】

鼓膜~中耳~内耳~聴覚神経~大脳聴覚野のどの部分にトラブルが起きてもおこりますが中耳炎や鼓膜のトラブルなど原因が明確な場合を除くと、耳鳴の原因は以下の図のようなメカニズムで発症するといわれています。

高音部(黄色)のメモリが低下しています。これは高音部の聴力が低下していることを表した写真です。

これまで聞こえていた聴力が低下したので、大脳の聴覚野が感度を上げようとして興奮した結果、通常では拾うことのなかった電気信号まで拾うようになり、それが耳鳴音として聞こえてしまうというのがメカニズムです。

したがって耳鳴は耳が鳴っているのではなく、脳が鳴っていると理解しましょう。

さて、耳鳴で悩んでいる人以外耳鳴は感じないのでしょうか?

実は耳鳴は静かな無音の環境下ではほとんどの人が耳鳴を感じています。

問題はそれが常に意識してしまうのか?それが不快に感じてしまうか?なのです。

耳鳴で苦しんでいる人は

  • 大脳辺縁系の海馬で不快な経験として記憶される
  • ⇒扁桃体では不快感や恐怖として認識
  • ⇒扁桃体は視床下部を通じて自律神経に「退避行動」を取るように命令
  • ⇒退避行動は、心拍数の増加、血圧の上昇など、危険に対して身構えているようなもの
  • ⇒緊張を強いられた状態
  • ⇒自律神経の緊張状態は、大脳皮質を刺激
  • ⇒大脳辺縁系へ不快なストレスを伴った信号が巡り巡っていくという悪循環を来たす。

このように耳が問題なのではなく、脳が複雑に関与しているのが耳鳴なのです。

まずは専門医で以下のような疾患がないか診察を受けてください。

  • メニエール病
    ・突発性難聴
    ・老人性難聴
    ・ラムゼイ・ハント病
    ・薬剤性内耳障害
    ・自律神経失調症
    ・外耳道炎
    ・耳硬化症、中耳炎、鼓膜炎
    ・耳管機能不全、耳管炎
    ・聴神経腫瘍、聴神経炎
    ・脳の外傷、脳腫瘍、脳出血、脳幹梗塞

上記の疾患がない場合、西洋医学的治療は限られていますので、鍼灸治療が有効かもしれません。

鍼灸治療では下記のような効果が期待できます。

内耳の血液循環改善

聴神経の血流改善

大脳辺縁系や大脳皮質の異常興奮の鎮静化

自律神経の調整

などを目的に行います。

また耳鳴の発症原因が、

突発性難聴やメニエール病の蝸牛型などによる聴力の低下なのか?

うつ・自律神経の異常によるものなのか?

高齢による聴力低下なのか?

風邪や中耳炎による一過性のものなのか?

などを鑑別し、それぞれに対応していきます。

耳鼻科での治療については限られており、『気のせいなので慣れるしかない』と放置されてしまうことが多いようです。

上記のような作用機序で鍼灸療法は耳鳴に対しては有効な手段となります。

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突発性難聴の発症約2ヶ月後より施術を開始

【要旨】

    突発性難聴発症

    約1ヶ月半後に耳鼻科受診→標準治療開始

    ※ゴールデンタイムを逃す

    聴力変化なし

    約2ヶ月後より鍼灸施術開始

    ※聴力固定の可能性大

    ただし低音領域のみであるため改善の可能性も僅かにあり

    鍼灸施術後に聴力および付随する症状も改善傾向

【症例】

56才 女性

【主訴】突発性難聴

【初検】8月8日

【現病歴】

6月上旬に左耳の聞こえずらさを自覚。耳閉感・耳鳴り・音響

7月22日 耳鼻科受診

低音部の聴力低下が認められます。

ステロイド1週間、その後ビタミン剤という標準治療→経過観察

聴力の改善が見られないため8月8日鍼灸施術を希望され来院。

1回/週の頻度で鍼灸施術を開始。

8月18日

鍼灸施術は2回済み

あまり変化はないようですね。

この受診時の主治医コメント

『おそらくこれ以上は良くならないと思います』とのこと。

鍼灸開始して間がないこともあり、もう3週間ビタミン剤の処方と鍼灸施術を併用してみることに。

当院の方針も3週間後に聴力の変化を認めないようなら聴力固定とし、付随する症状(耳閉塞感・耳鳴等)への施術に変更することとしました。

9月8日

耳鼻科医コメント

『聴力が改善傾向にあるので、もう3週間処方を継続』とのこと。

250Hzと500Hzで約15d B改善しています。

僅か15dBのようにも思えますが、60dB代と40dB代とでは聞きずらさはかなり違ってきます。

これからどこまで改善するかはまだわかりませんが、聴力が動いている間は鍼灸施術を継続すると良いでしょう。

ゴールデンタイムを逃した症例だったが鍼灸施術を開始してから改善

  1. 聴力低下が高音部に比較して血流の豊富な低音部領域だったこと
  2. 当院の鍼灸施術が的確であったこと
  3. 瘀血の証であったことで血流改善による聴力回復が可能であったこと
  4. スーパーライザーによる星状神経節照射を的確に行ったこと

などが要因と考えます。

全ての人が治癒、改善するということは残念ながらありません。

しかし鍼灸施術によりその可能性が高まれば・・・

今より少しでも聴力が改善すれば・・・

聴力が固定してしまう前に一度鍼灸療法を試してみたらいかがでしょうか?

メニエール病

メニエール病に対する鍼灸療法


メニエール病で回転性めまいに難聴と耳鳴が伴っておこるものを定型例いいます。
ただし回転性めまいのみ、あるいは耳鳴・難聴のみの場合は非定型例といいます。

どちらも内リンパ水腫が原因とされていますが、なぜ水腫になるのかは不明とされています。
発作時はステロイドや利尿剤、吐き気やめまいを押さえる薬が処方されることが一般的です。

この疾患の場合はある日突然、回転性めまいが出現するため、仕事はもちろん、外出先や旅行先などでの発作への恐怖、不安感が常につきまといます。また無症状の時に予防的に薬を服用するのにも抵抗があり、発作を繰り返すようになります。

通常発作を繰り返すとどうなる?
初期には低音のみの聴力低下⇒進行すると全周波数の聴力低下や健側聴力も低下し、難聴、耳鳴り、補充現象などの症状が固定し不可逆性になります。したがって早期の診断・治療を始めることによって進行をくい止め、または治癒させることが重要になります。

したがってメニエール病に対しては、めまい発作をおこさないような予防的治療がすなわち、患者さんの日常生活の質を上げ、また聴力の低下消失を防ぐことになります。

治療法
急性期:基本的には対象療法となります。
7%重曹水点滴静注(~250ml)
鎮吐薬・抗不安・催眠薬・抗めまい薬・血管拡張薬・ビタミンB
ステロイドなどで治療対処することが多い。


慢性期:
生活指導・心理的アプローチと薬物療法などを組み合わせることでおおむね70%は発作予防に有効であると報告されています。
しかしストレス源を排除することや、心拍数100-120/分の運動を1時間以上週3回以上おこなうことが困難な方も多いのではないでしょうか?
そこで鍼灸治療が重要な役割をします。

セルフチェック

首・肩がこる。特に起床時しばらくは特にその傾向にある。

エラがはっているように見える

口が開けにくい

舌の周辺がガタガタになっている

以上のような所見があれば特に当院の鍼灸治療が有効です。

難聴や耳鳴、めまい感などは1回/週程度の頻度で通院が必要です。
それらが消失すれば1回から2回/月程度の頻度で経過を観察し、徐々に通院感覚を開けていきます。


鍼灸治療はメニエール病にとても有効な治療法の一つです。

当院の症例


症例:42才女性 専業主婦 やや細身
主訴:発症すると6~8時間持続する耳閉感・耳鳴り・嘔気をともなう回転性めまい
現病歴:
X-9年・・・症状出現(1~2回/年)
       各科検査も器質的異常を認めず
       メニエール病(耳鼻科)  
X-3年・・・発作回数増える(2~3回/年)
X-1年・・・7月2回、10月~12月にかけて毎月発作出現
       脳外科異常なし
       耳鼻科再受診、メニエール病と診断             
X年・・・   5月に2回めまい発作
       鍼灸院・整体院に通院も変化なし
       耳鼻科系の鍼灸を希望し来院
治療:当院独自の耳鼻科系疾患のポイントに施術

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低音型難聴の鍼灸(メニエール病)

メニエール病と鍼灸療法について紹介しているページです。メニエール病を根本から治すにはどうしたら良いか?などを中心に紹介させていただきます。

このメニエール病とは回転性めまい発作+耳症状(難聴・耳閉塞感・耳鳴等)が重なりそれが反復するものです。急性低音障害型感音性難聴(低音型難聴)と診断される時もあります。
めまいだけの場合や耳症状のだけ場合も当てはまることもあります。(非定型例といいます)

メニエール病(蝸牛型)は本当は怖いのです。

どのような経過をたどるのか?

この病気は
⇒初期は低音部の聴力低下(めまいは数時間から十数時間で改善)⇒聴力は比較的すぐ改善する
⇒しばらくして再び発作⇒低音部の聴力低下(めまいは数時間から十数時間で改善)
⇒これを繰り返すと聴力が改善しにくくなる
⇒悪い耳だけでなく良いほうの聴力も低下して元に戻らなくなる(最終形)このころにはめまいは起こらなくなる。

このようにこの病気が怖いのは、めまいではなく、聴力低下が固定してしまうように進行する病気ということ。

これを防ぐには早期の診断と治療が必要と言われていますが、
いったんめまい発作が起きると病院でおこなう治療はどこでもほとんど同じで対症療法にすぎません。

したがって根本的治療は非発作時にあるといえます。

いかに発作を起こさないようにするか!
実はこれがポイントなのです。

まずはセルフチェック

首・肩がこる。特に起床時しばらくは特にその傾向にある。

エラがはっているように見える

口が開けにくい

舌の周辺がガタガタになっている

以上のような所見がれば特に当院の鍼灸療法が有効です。

鍼灸療法以外でご自分でできること


基本的にはストレス源の排除と有酸素運動になります。以下の論文を掲載しておきます。
~論文紹介~
生活指導と有酸素運動によるメニエール病の治療

対象は231名(めまいの予後判定は内130名)
①めまいの経過②聴力の経過を観察
観察期間1カ月~1年以上
治療としておこなったこと
生活指導の改善と有酸素運動、そして投薬治療の中止。

【結果】
①めまい・・・約8割が良好(消失・ほとんどない)
②聴力・・・初診時低音障害の改善47.7%、高音33.3%、全音域26.6%
有酸素運動が内耳循環を改善させリンパ水腫を軽減させた可能性を示唆

生活改善に関してかなりきつい内容。
元々メニエール病とストレスは大きく関係しています。
そもそもストレスが関与する病気はストレス源を排除するのが一番の治療。
この研究では男性は職場関連・女性は家族・家庭関連のストレスが多かったとのこと。
しかしこの種のストレス源排除って現実的には結構難しいことが多い。
じゃあ仕事変わればいいの?
じゃあ家庭環境変えればいいの?(離婚?別居?引っ越し?)

そんな簡単にできませんよね~、だから悩むのです。

また運動に関しては
心拍数100-120/分の運動を1時間以上週3回以上おこなっております。
この運動自体も結構な運動量ですが、その時間を作ること自体が生活改善になっているようにも思います。
これらのことで、内耳血流、脳報酬系が改善し、メニエール病が改善する可能性について論じられています。この論文のように生活改善や運動が可能な人は鍼灸療法する必要はないと思います。
しかしそれが難しい方は鍼灸療法を試してみましょう。

難聴や耳鳴、めまい感などが1回/週程度の頻度で通院が必要です。
それらが消失すれば1回から2回/月程度の頻度で経過を観察し、徐々に通院感覚を開けていきます。

鍼灸療法についてどのような効果があるのかは下記の図にまとめてあります。

下記は当院の患者さんで施術前1年間と施術後1年間をメニエール病の発作回数を比較したものです。

施術前の1年間は7回発作がありました。

1回/週の頻度で鍼灸施術を開始

1年間の評価で7回→1回となりました。
キーワードは上記の図のように自律神経や姿勢反射、脳報酬系というメカニズムニが作用していると考えられます。
このような理論根拠により鍼灸療法はメニエール病に対して効果的だと考えています。

メニエール病を根本から治して快適な生活をおくりませんか?
なお当院ではその他の耳症状に対しても鍼灸施術をおこなっています。

下記をクリックして参考にしてください。

突発性難聴・高音部の聴力が改善した症例

突発性難聴の発症約2ヶ月後より施術を開始

耳鳴のメカニズムと鍼灸

とよしま鍼灸院 料金