子宮の異常収縮が妊娠率を低下させる。
正常化は生殖医療(一般医療)では困難であるが鍼灸では容易である。
近年、胚移植時(着床時)に子宮の異常収縮(強い収縮)がある場合は妊娠率が低下し、低い収縮の場合は妊娠率は上がることが明らかになってきました。子宮側に問題がある着床障害の一つです。
特に子宮筋腫や子宮内膜症などが背景にある場合は、子宮の異常収縮を認めることがすでに報告されています。
したがってこの異常収縮を正常化させることができれば妊娠率は上がるということになります。
なんだ簡単なことですね?
と思われますが、実際にはそうではなく生殖医学を含めた通常の医学では難しいことなのです。
子宮の収縮は筋肉の収縮でもあります。通常の医療ではこの手の筋肉トラブルに対しては無力に近いのです。
考えてみてください。
肩こり(筋肉の持続的収縮状態)はどうですか?
全身の凝った状態はお薬で劇的に良くな流でしょうか?
残念ながら良くならないので鍼灸・あん摩・マッサージが今の時代でも残っているのです。
また仮に収縮を抑制するお薬を使ったとしましょう。
薬理上、全ての薬の効果は全身に影響します。
異常な収縮を起こしているところには有効かもしれませんが、その他の正常な部位に影響してしまうことも考慮入れる必要があります。
これらのことから通常の医療では非常に難しいのが現状なのです。
しかし鍼灸では容易です。
鍼灸の刺激により脊髄反射あるいは脳を介した反射により収縮している部位をピンポイントで調整することが可能であり、副作用もありません。
鍼灸で生理痛が減少するのもこの子宮収縮が適度な収縮に変わるからです。
異常収縮のみが原因であれば短期間で妊娠する確率が高い
多くの妊活さんは卵子の問題、子宮の収縮以外の問題が複数存在している方がほとんどです。
しかしなかには異常収縮のみが原因で長い期間授からない方も存在します。
このような方に鍼灸施術を行うと短期間・少ない回数で妊娠することが多いと実感しています。
前のお子さんは自然妊娠したものの2人目、3人目がなかなか授からない方などにもこのような方が見られます。
当然卵子の質が大きなウェイトを占めるのが妊活です。しかしその他の原因にも目を向けられると妊娠に近づくのではないでしょうか?
鍼灸の研究で移植前後に鍼灸施術をすると妊娠率が上がる論文があります。
またネットでも数回の施術で妊娠したと報告されているものも目にします。
これらは子宮の異常収縮が是正されたために妊娠した可能性が非常に高いです。
卵子の質の改善には一定の期間が必要になります。
子宮の異常収縮を是正し妊娠率を上乗せしながら卵子の質の改善を待つことがとても効率的なように思います。
これに着目し漢方薬を処方した報告
体外受精における胚移植時の芍薬甘草湯併用による妊娠率改善効果の検討
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kampomed/58/3/58_3_475/_pdf
仙骨表面電気刺激による新しい神経調整的不妊治療の研究
https://kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENHI-PROJECT-20300192/20300192seika.pdf
これまでの鍼灸の基礎研究からは鍼灸刺激の方が効果は大きいことが明らかになっていることを最後に付け加えておきます。