院長コラム

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pcos(多嚢胞性卵巣症候群)の鍼灸

多嚢胞性卵巣症候群とは卵巣で排卵されにくくなる疾患で排卵障害の一つです。

排卵されない卵胞は卵巣にとどまるため、超音波検査でみると、たくさんの卵胞(嚢胞)を認めることが特徴の一つです。

この疾患は糖代謝が深く関与していることがわかっていて日本人に多いのはこのタイプともいわれています。

このようなタイプの人は以下のような症状があります。

この糖質(炭水化物含む)の問題がかかわっている人は単純に糖質そのものを摂りすぎている人もいれば体質的に糖質の代謝が悪い人などもいます。肥満傾向や近親者に糖尿病の人がいる人がこれにあたります。

  1. おへそ周りが冷たい(自覚がない人でも自分でおへそ周りを触ってみて確認するとびっくりするぐらい冷えている場合もあります)
  2. 食後に眠たくなったり、体が重たく感じたりする
  3. 糖尿病の家系
  4. 背中などの体毛が濃い
  5. 外反母趾傾向

対策

①糖質摂取そのものを減らす。

炭水化物を含む糖質の摂取自体を減らしましょう。もうちょっと食べたい~と思ったら糖質以外のものを食べましょう。お菓子や菓子パンなどもいろんな意味で控えましょう。お酒も控えてほしいのですが、どうしても、という人は焼酎やウイスキーにしましょう。ビール、日本酒は×  

②食べる順番に気をつけましょう。

おかず類、できれば野菜から食べて最後にご飯とお味噌汁という順序にしましょう。日本料理などでもコースの最後にご飯が出るのはインシュリンの分泌を抑制するからという意味もあります。低インシュリンダイエットと同じ理屈です。

③運動を始めましょう。

運動をすることで筋肉への糖の取り込みがスムーズになりインシュリンの分泌が少なくてすむようになります。

④鍼灸治療を併用しましょう。

PCOSの鍼灸

PCOSは原因がいまいちはっきりしていないものの筋交感神経活動が亢進していることはわかっています。

そこで鍼灸で筋交感神経の活動を低下させることができればPCOに対して有効な治療法の一つになるということです。

鍼灸すると筋交感神経活動亢進は低下したという研究結果がでています。

性周期の改善が見られた例も報告されています。

使用する経穴と方法は以下の図参照。

TH12〜L2、S2〜S4の神経支配領域にあるツボを選択していますね。

これは卵巣の神経支配を意識したものです。(体制内臓反射)

PCOSは交感神経活動が亢進している。

鍼灸でその活動を低下させることができる。

表面の鍼刺激は効果がなく、筋膜に到達するものの方が効果は高い。

響きがある方が良い。

低周波鍼通電の方が良い。

交感神経の亢進の度合いが強ければ強いほど鍼灸は著効を示す可能性がある。

先行研究から鍼灸によりPCOの約30%以上に性周期の改善が見られる。

卵巣交感神経の活動を調節することで卵巣血流は改善する。

TH12〜L2、S2〜S 4支配領域の経穴を選択する。

PCOが背景にあるとたとえ排卵誘発で例え排卵されていたとしても、PCOがない人に比べて妊娠しにくいといわれています。

鍼灸で交感神経の調整、性周期の改善(約30%)、卵巣血流の改善などの効果を付与でき、結果として妊娠率の上乗せ分を提供できる可能性がありそうです。

とよしま鍼灸院 料金

院長のアメブロ日記・・・こちらではライトな感じで妊活などについて書いています。

なぜ生理痛になるのか

さて今日は生理痛のお話。

生理痛には鍼灸がとても効きます。

今日はなぜ効くかってことを考えてみたいと思います。

そもそも生理痛は子宮からの痛みで子宮が収縮する際の痛み。

これをまず押さえておきましょう。

以下の画像で確認!
これは右側の子宮筋層が左と比べて黒くなっている部分が分かります。

この画像はT2強調画像といい、水分を白く映すような画像。

したがって黒くなっているのは水分が少なくなっている⇒子宮筋の血流が悪くなり阻血状態になっていると考えます。

血流が悪い状態で筋肉が収縮を強いられている状態。

また子宮の形自体も左右で微妙に違う⇒収縮していることを表しています。
これが生理痛の正体なのです。


子宮の収縮は自律神経が関与しています。

したがって、

①鍼灸で子宮の自律神経を調整して異常な収縮を緩和させる。

②生理前から治療し、子宮の筋肉内に豊富な血流を確保した状態で生理を迎える。

このように阻血状態を回避しておけば生理痛は緩和されます。

鍼灸治療は このようなメカニズムにより生理痛が緩和されるのです。
ぜひ鍼灸治療を試してみてはいかがでしょうか?

非造影MRI 次は何を見る 木戸昌より画像お借りしました。

睡眠を変えると卵子が変わる!

今までは健康の基本は食事と運動といわれていました。

現在ではそれに睡眠も加えて健康の3要素といわれるようになりました。
最近の研究でも良質の睡眠が取れてない人に生活習慣病の発生率が高いという報告があります。その結果を受けて、アメリカでは多くの会社が社員の健康維持のため、良質の睡眠を社員が取れているかどうかを別の会社に委託管理させているようになっているそうです。
少しぐらい委託管理料を払っても最終的に社員が体調不良で休んでしまったために生ずる損失よりも会社の利益が大きいということです。さすがアメリカですね。

すなわち単純な睡眠時間ではなく、いかに良質な睡眠を取るか?がポイントなのです。
では良質の睡眠とはどんなものをいうのでしょうか?
22時~2時(22時~3時までという説もあります)の時間に睡眠を取ることが良質の睡眠といわれています。
この時間は脳を含む体の臓器が昼間のさまざまなストレスから解放され、修復される時間なのです。成長ホルモンなどもほぼ同じ時間に分泌されるといわれており、昔から寝る子は育つといわれるのはこのためです。
美容業界では『睡眠のゴールデンタイム』ともいわれています。
美しさを保ちアンチエイジングするのは外見だけではありません。
そもそも肌・皮膚などは内臓の状態を反映します。
美しい肌を保つということは健康な内臓を保つということとイコールなのです。
したがってこの時間にしっかりと睡眠を取るだけで卵巣や子宮にとってもアンチエイジング!若返ることができるということです。
高価なサプリメントをたくさん摂取するのもいいですが、睡眠時間を工夫するだけで卵巣や子宮が若返るなんてこんな良い事はないと思います。

なにより費用がかかりませんからね。

しかし今まで夜型の人は『そんな10時になんか眠たくならない!』という人も多いでしょう。
そんな時は人間の生理学的作用を利用します。
そもそも良質の睡眠にはメラトニンというホルモンの一種が必要になります。
このメラトニンは暗闇から目の網膜に光が当たって約15~16時間後に分泌されるという特徴があります。これを利用します。
朝6時に起床して朝日を浴びれば16時間後すなわち10時には自然とメラトニンが分泌されます。すなわち眠くなるということです。
したがって早寝早起きではなく早起き早寝です。
早く眠るようにしたければ前日にちょっと無理して早起きして朝日を浴びれば自然と早寝ができる⇒良質の睡眠が可能⇒アンチエイジング⇒卵巣・子宮が若返る!
当院の患者さまに伺ってみるとみなさん遅くまで起きていなくてはいけない理由はさまざまあるようですが、それぞれで工夫して少しでも良質の睡眠が取れるようして卵巣・子宮の若返り、アンチエイジングを目指しましょう!

それでもなかなか寝付けない、途中で目が覚めてしまうなど、なかなかすっきり眠れない人は自律神経のバランスが乱れていることが原因の一つです。鍼灸治療で自律神経を整えて良質な睡眠がとれるようにお手伝いします。

生殖医学では32才が節目

当院はかれこれ妊活鍼灸初めて10年以上経過しています。
最近は若い患者さんも本当に多くなりました。
振り返ると10年前は40前後の方が多かったですね。

そもそも若い女性っていくつくらいまでのことをいうのでしょうか?
定義はないですよね当然ですが。

生殖医学領域での若い女性とは・・・

下記の図は少し古いデータですが超有名な統計です。
4つのグラフがありますが、ざっくり言うと年齢と妊娠率とを表した図です。
これでいくと31才・32才ぐらいから急激に生産率(出生率)が低下してきます。
それと同時に流産率(紫色のグラフ)が上昇してきます。
つまり31・32才が一つの区切られる年齢といえます。
逆に言うとそれより若年齢の人は20才前半の人と20才後半の人ではあまり差が無いともいえます。

したがって若い女性は32才未満とも言えるかもしれません。
32才未満の患者さんでも会社の若い新人女性なんかを見て「私はもう年だわ~」ってテンション下がったりあせったりする方が多いです。

32才未満と22才の新卒の女性とは生殖医学領域ではほとんど差がないので安心してください! こんなこと伝えたくて今日はブログを更新しました。
本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。
下記の図は 日本産婦人科学会学会よりお借りしました。

母乳が出るようになるツボ

出産後に母乳の出が悪いことを専門的な用語で乳汁分泌不全といいます。

原因は大きく分けて
①中枢性・・・下垂体の機能の異常により低下しプロラクチン低値によるのが原因
※母乳を作る元のホルモンの出が悪い場合
②末梢性・・・乳腺組織の発育不全、陥没乳頭、扁平乳頭により排出が障害されたもの
※乳首やその中の組織になんらかの問題がある場合
③児性・・・・子供の吸引力の低下、口腔の異常による哺乳障害
※母乳を吸う子供の問題
④社会性・・・仕事の都合などで母乳保育への意欲がないなどの社会的要因
※仕事で授乳できない、胸の形が崩れるので授乳したくないなどの理由 先天的な問題がなく、社会的条件をクリアできる場合は治療対象となるといえます。

治療方法

治療方法は大きく分けて2つ。
①乳房マッサージや他の物理療法
②薬物療法

この①の他の物理療法の中に鍼灸治療が入ります。

明治鍼灸大学(現、明治国際医療大学)の矢野、笹岡らのまとめによると 立浪たか子らの研究では99例を対象にした研究があり、
乳房マッサージ群(50例)と乳房マッサージにツボ刺激を加えた群(49例)との比較研究です。退院後及び出産後1ケ月の乳汁分泌について検討した論文です。
結果、ツボ刺激を加えた群で1回哺乳量60ml以上(充足)に達した症例は有意に多かったと報告されています。
ツボ刺激は円皮鍼で4日~7日貼付
A-中府・三陰交・足三里
B-中府・膻中・少沢
C-中府・膻中・足三里
もっとも効果的だったものはBであった。 その他、和田らの研究や藤木らの研究で用いられた経穴は 膻中・天宗・肩井・内関・合谷・乳根etcです。

あくまでも助産師さんの乳房マッサージなどと併用することが重要です。
またツボ刺激は円皮鍼(ピップエレキバンのようなもの)で非常に軽い刺激ですのでせんねん灸やご主人のマッサージ、ツボ押し棒などでも十分効果が期待できます。

当院ではツボへの鍼灸治療のみを行い、セルフケアの指導をさせていただきます。