不妊鍼灸

新しい生命の誕生のために鍼灸という選択を

なぜ鍼灸治療で妊娠できるのか?当院の考え。

このページをご覧の方はすでに鍼灸治療を受けているか、もしくは受けてみようかと考えている方でしょう。すでにいろんなサイトを見た後にたどり着いているでしょう。当院はなぜ鍼灸治療が妊娠に導くことができるのかということについて、すべて科学的に明らかになっている作用機序(メカニズム)を基盤として治療にあたっています。

したがって『体の冷えを取り除き、妊娠に・・・』とか『骨盤のズレを整え妊娠に・・・』とか『気を整えて、経絡を整えて』などという科学的に明らかになっていない理論・根拠は用いていません。これは不妊であれ痛みであれすべて同じスタンスです。

これが全日本鍼灸学会認定鍼灸師が行う鍼灸治療で他院と決定的に違うところなのです。

では少しずつなぜ妊娠できるのか?を説明していきます。

そのまえに、生殖クリニックの現場では卵子の問題、子宮の問題と個別に意識しながら治療している傾向があります。しかし卵巣・子宮の状態は脳やホルモン、自律神経によって調整されているのを忘れているのではないでしょうか?これらはこころやからだの状態に特に影響を受けます。家にたとえると、最先端の技術で最高の材質を使用しても、その土地の基礎整備が不十分であればどうなるかは明らかでしょう。

妊娠女性

鍼灸治療の作用機序

不妊妊活鍼灸のメカニズムは大きくわけるとこの3つです。
①自律神経を介し視床下部-下垂体-ホルモン系を正常化に導く。
②体性-内臓反射を利用し、内臓機能を正常化、および内臓血管を拡張させ内臓血流を改善させる。
③鍼灸刺激による免疫応答を利用し、免疫反応を正常化させることで着床に導く。妊娠に至るには自律神経の調整が必要です。


①自律神経を介し視床下部-下垂体-ホルモン系を正常化に導く。


自律神経からみた鍼灸の特徴は、
交感神経優位の人であれば副交感神経が高まり、自律神経を正常に戻すことが研究で明らかになっています。
副交感神経優位に人であれば交感神経が高まります。
そもそも妊活は強烈なストレス状態とも言えます。
①ストレス→交感神経が優位→血管の収縮→卵巣・子宮血流の低下→卵巣・子宮機能の低下→着床×
卵巣の血管(卵巣動脈)は自律神経に非常に過敏に反応することが実験で分かったいます。
※ホルモン補充してもそのホルモンは血流にのって届きますので、蛇口をひねっても途中のホースがねじれていたら水が流れないとの同じ理屈です。
血液検査でしっかりとホルモン値があっても、卵巣・子宮に届いていないとなんの意味もありませんね。
さてこの状態が継続すると、

視床下部-下垂体-卵巣系に変調をきたします。
生理周期が乱れたり、無排卵になったりします。経験上、ホルモン補充や排卵誘発剤を使用して理想的な周期を造ったとしてもなかなか妊娠しないような印象を持っています。しかし鍼灸治療で自然な周期、排卵を取り戻すと妊娠したという多くの症例から考えると、やはり本来自身がもっている視床下部-下垂体-卵巣系がひいては卵子・子宮の質にも大きく関与していることが推測されます。

②体性-内臓反射を利用し、内臓機能を正常化、および内臓血管を拡張させ内臓血流を改善させる。

鍼灸治療は古くから内臓の不調に対して用いられてきました。その科学的メカニズムの一つとして体性-内臓反射と呼ばれる生体が本来持つ反射経路です。食事中に誤嚥しそうになりむせた時に、自然と背中をさすったり叩いたりしますよね。あれもこの反射を利用したものなのです。

内臓の痛みが腰や肩の痛みだった・・・というのはこの逆である内臓-体性反射で痛みが出るのです。

さて卵巣や子宮はどうなっているのでしょうか?それを示したのが下記の図です。

内臓の機能や血管を広げたり縮めたりするのは自律神経です。その線維が脊椎のどのレベルと連絡しているかを利用して鍼灸刺激を行います。妊娠や生理不順に必要とされている体幹のツボはこれで説明できます。

また下肢のツボ、三陰交なども同様です。

これらの中で反応の出ているツボに鍼灸刺激をすることで卵巣子宮の機能の向上を図っているのです。

歯科技工士

③鍼灸刺激による免疫反応を正常化させることで着床に導く。

妊活中はストレスとの共存。

みなさんもストレス状態が続くと、風邪を続けてひいたりといった記憶はありませんか?それは免疫系に異常が現れているからです。抵抗力がない状態ともいわれますね。

さて妊娠にはこの免疫系も重要な要素になります。

妊娠および妊娠維持における免疫。

受精卵の半分の遺伝子はご主人のもの。いわば非自己のものです。
しかしなぜ拒否反応を示さず妊娠するのでしょうか?

受精卵の8細胞期にはすでに母体免疫系から攻撃を受けないさまざまな免疫システムが働いているといわれています。
また着床・妊娠維持にはTh1/Th2バランスが必要になります。

研究では着床障害を有する患者の免疫系はTh1優位、同様に習慣性流産患者の子宮着床部でもTh1優位となっており、本来Th2優位になることが妊娠維持に重要であるといわれています。

つまり妊娠のかなり初期からTH2免疫優位に変化することが求められるということです。

鍼灸治療で免疫を正常化させる必要があるということです。




子宮内膜

歯科助手

妊活には卵子を育てること、内膜の質を高めること、そしてなにより全身状態から不調な部位を探して立て直すことが重要です。その中でも最も重要なのが卵子の質なのは言うまでもありません。

一方子宮内膜については厚さのみが論じられ、あとは軽視されているように思います。10年ぐらい前はとかく内膜の厚さに着目されておりました。7mm前後をカットラインにして妊娠率には優位な変化があることが報告されているからです。

でも実際には13mmもあるのに妊娠しないとか5mmでも移殖して妊娠したとかさまざまです。また厚さが絶対条件であれば子宮外妊娠はどう説明できるのでしょうか?

したがって当院の鍼灸治療では内膜の厚さも当然ですが、その質を高めることを目標に鍼灸治療をおこなっております。量より質!。

『質って何?』

内膜の形態はもちろん、いわゆる着床の窓にも関係あるでしょう。そしてもっと細かく分子免疫レベルでの内膜での働きなんかも研究で明らかになりつつあります。
それらを総称して当院では質と呼んでいます。
胚盤胞には行くけどもなかなか着床しない人は一般的には着床障害が考えられます。
ちなみに当院のデータではそのような場合、約3周期程度鍼灸治療をおこなった後、移殖してみると妊娠する場合が多いようです。

卵子の成長

歯科助手

『不妊の鍼灸治療はどのくらいの治療期間が必要なのですか?』
このこともよく聞かれます。

全日本鍼灸学会の統計ではART体外受精レベルの患者さまで平均6.3ヶ月鍼灸を続けると成功率が上昇するというデータが報告されています。

よく漢方薬を飲み続けても妊娠に至るには『体質改善には半年ぐらいはかかりますよ!』
とは良く聞く話です。
どうも6ヶ月というのがキーワードのようです。
ではなぜこのぐらいの期間が必要になるのでしょうか?
『卵子の成長』という視点から少し考えてみましょう。

ここでみなさんに質問です。
『今月排卵される卵子はいつごろから卵巣で準備されるのか?』
医療関係者は当然知っていますが、一般の人ははるか昔に生物や発生学などで学んだことがあるかもしれませんね。
答えは5~6カ月前から徐々に大きくなり排卵されるその周期まで成長し続けます。
卵子は 原始卵胞、一次卵胞、二次卵胞、前胞状卵胞、(初期、中期)胞状卵胞、排卵期卵胞と成熟していきます。
原始卵胞から前胞状卵胞まででなんと3ヶ月以上もかけてゆっくり成長していきます。
前胞状卵胞から初期胞状卵胞まで約25日、そして直径が約2mm~5mmになると
Selectable follicle (選択される可能性のある卵胞)と呼ばれる状態になり、24才~33才までの人なら通常3個~11個あります。
排卵に向かう卵胞はこの中から1個が選択されて排卵されます。この間が月経開始から約2週間で排卵されるのです。
この原始卵胞にはじまり排卵されるその時に向かい少しずつ成長していくまでに実に約5~6ヶ月必要になるのです。
どうですか?約半年というキーワードとつながりましたね。
実は卵子にとっても鍼灸治療にとってもこの半年というのは非常に重要な働きを必要とする期間になります。


なぜ卵はこのようにゆっくりと成長する必要があるのでしょうか?

卵子の減数分裂は通常の体細胞分裂と異なり非常に早いスピードで分裂をすることが知られています。
これの意味するところは・・・
通常の体細胞分裂は細胞周囲の環境に影響されながらゆっくりと分裂するのに対し、
卵子の場合は周囲の影響を受けずに分裂するということです。
ということは?・・・
あらかじめ遺伝子や細胞に『分裂開始!分化開始!』の号令で一斉にスタートできるようにあらかじめ十分に準備、パワーを充填しておく必要があるということです。
大きな排卵される卵ばかりに注目しがちですが実は受精するまでの準備期間がその卵の将来にとっていかに大切か容易に想像できます。
したがって、この期間にヒートショックプロテインを増大させ、分子シャペロン機能を働かせておくかが、排卵・受精以降に重要になるということです。
この期間に鍼灸治療をおこなう意味がここにあります。

但し、卵子の成長については大きく分けて、
原始卵胞~2次卵胞まではゴナドトロピン非依存性
前胞状卵胞から胞状卵胞まではゴナドトロピン反応性発育
胞状卵胞から排卵まではゴナドトロピン依存性発育
ざっくり言うとこの3つのステージに分かれます。
どのステージから卵が鍼灸治療に反応するかで、良好胚と出会うまでの期間は変わるのでしょう。

良好卵子獲得を目指す or + 子宮環境改善を目指す

歯科衛生士

鍼灸治療と併用してスーパーライザーpxを使用します。


2002年開業以来スーパーライザーを導入し治療に用いてきました。

妊娠症例紹介(一部)

歯科技工士

〈子宮内膜の質が改善し妊娠した症例〉
32才G・M様
2年前より不妊治療開始AIH→体外受精へステップアップ
採卵7個→胚盤胞3個
4ヶ月後採卵5個→胚盤胞2個いずれも着床せず
また採卵からスタートするので体調を整えてチャレンジしたいと考え来院
【所見】
足の冷え、下腹部硬い、季肋部抵抗、臍下部軟弱
月経量少ない、やや暗赤色
目の疲れ、中途覚醒、肩こり、腰痛、手足のむくみ・こわばり等もみられる
鍼灸治療開始3ヶ月後に採卵3個胚盤胞で凍結3ヶ月後に移殖し無事妊娠された。
※コメント
注目する点は胚盤胞まではいくことから卵には力があるようですが、なぜか着床しないということです。
生理も夜用が必要ないくらいに少量とのことで骨盤内の循環がかなり悪いことが分かります。
また問診項目や体表所見からも同様なことがいえます。
そこで卵子の質よりも骨盤内の循環改善に視点を置き鍼灸治療をおこないました。
また生活習慣、特に洋菓子が大好き、運動大嫌いを改善していただくようにお願いしました。
結果無事妊娠され、安定期に入ったため当院も卒業されました。
お子さんの心音を毎日聞くことで安心楽しみにしているとのことが印象的でした。
本当におめでとうございました。

〈内膜症が原因ではなく、交感神経緊張状態が原因と推測された症例〉
35才Z様 第2子不妊

出産後生理が来てからすぐにAIH開始計7回、その後タイミングで様子を見る(治療に疲れ一時お休み)
そろそろ体外受精にステップアップしようと考え、少しでも良い状態でチャレンジしたいと考え来院。
【症状および所見】
手足の冷え、息苦しい、動機、頭痛、胸が抑えられるような感じ、入眠障害、中途覚醒
上腹部冷え、下腹部軟弱、背部も力なく軟弱、肩背部ザラザラ
鍼灸開始2ヶ月後に採卵移殖するも着床せず。その後4カ月ごに再度採卵し移殖。無事妊娠される。
※コメント
普段より息苦しい感じや、不安感などの症状からストレスにより自律神経が乱れていることがわかります。
鍼灸治療を開始してすぐに息苦しさや胸の押さえられる感じが消失し、足も暖かくなってきたとのことでした。
内膜症があると妊娠しにくい場合もあるといわれていますが、この方はストレスなど自律神経および
HPA軸に問題があった症例だったようです。
この辺は鍼灸が得意とするところです。
本当におめでとうございました。
〈2人目不妊も鍼灸を併用して妊娠した症例〉
36才 Y様

1人目も当院で鍼灸をおこない体外受精で妊娠、今度は2人目に挑戦したいと考えて来院。
東洋医学的には肝の虚。お血。冷えも顕著なので灸治療中心に温めて骨盤内の循環を改善させようと考えました。
採卵予定の3ヶ月前より鍼灸開始。採卵2ヶ→1ケその周期に移殖するも着床せず。次周期に残りを移殖し妊娠。

※コメント
冷えやお血(骨盤内循環不全)はお灸が良く効きます。また『鍼は怖い~』『お灸は気持ち良い~』という方でした。
お灸との相性も良くお灸だけで効果がありました。
また1人目の妊娠の際に、『2人目に挑戦するなら早い方が良いので、病院でOkでたらすぐ不妊治療を開始したほうがよいですよ』という私の言葉を覚えていてくれて、すぐに2人目治療を開始したことが良かったように思います。
おめでとうございました。

〈骨盤内の循環不全が改善し妊娠した症例〉

28才 V様
2年前よりタイミング→AIHも妊娠せず。体外受精にステップアップする予定だがその前に鍼灸で体調を整えておきたいと考えて来院。
下半身の冷え、肩こり腰痛もある。
東洋医学的には脾虚・お血
鍼灸治療開始6ヶ月後に2ケ採卵。その周期に移殖するも妊娠せず。残りの初期胚を凍結してタイミングを待つ。
その後ある日を境にお腹の硬い反応が消失。しばらくは移植のチャンスですと指導するも諸事情により3周期後に移植することとなる。
この間お腹の硬い反応は認めず無事妊娠される。産婦人科デビューとなったので鍼灸治療は終了。

※コメント
この方はお血が顕著でしたので骨盤内の循環を改善させることを第一に考えて治療してきました。
特に不妊の多くの方にこのお血反応がみられますが、この反応が消失するとその後の病院での治療はスムーズに進むことが多いような印象を持っています。
禁煙・禁酒、食事・運動などのアドバイスもしっかりと守ってくれたことも成功の大きな要因といえます。
おめでとうございました。


〈胃腸の状態を含む全身状態が改善し、妊娠した症例〉
39才 B様
約2年間で4回採卵し5回移殖するも妊娠せず。排卵誘発も回数を重ねるたびに採卵数が減ってきたこともあり、体調を整えてからチャレンジしてみようと考え来院。
〈問題点〉
交感神経優位、胃腸昨日の低下、手足の冷え、疲れやすい、首肩コリ、腰痛、めまいなどの症状や体表所見から
長期間ストレスにさらされていることが推測される。
東洋医学的には気虚、オ血、脾の虚
〈治療方針〉
副交感神経を刺激し自律神経の調整による胃腸機能の改善、冷えの緩和による全身状態の改善
〈経過〉
約半年後に採卵6ケ→2け初期胚で凍結残りを胚盤胞までそだてることに。4ケ→3ケ胚盤胞に。
3ヶ月後に2段階移植で妊娠。無事出産し子育て奮闘中との知らせ。

※コメント

この年齢でもこれだけ質の良い卵子が採卵できる場合もあります。この時点でおそらくいけるだろうと
思っていました。
やはり全身状態が改善したことが大きかったように感じます。
ストレスが一番良くないことを再認識させられた症例でした。
おめでとうございました。

〈鍼灸治療開始後、生理周期が正常になり妊娠した症例〉
30才 U様
半年前より自分なりにタイミング。その後病院で基礎体温測るように指示。生理周期が乱れていることより心配になり当院受診。
鍼灸治療開始後、2層性となり3周期後に自然妊娠する。治療終了
※ コメント
この患者さんは結婚後1年ぐらいでしたので、不妊にはならないでしょう。
基礎体温が早期に安定したことで心配事がなくなったことが大きな要因の一つなのかもしれません。
なによりストレスが不妊には良くないことですから。おめでとうございました。

〈統計通りの日数で卵巣の状態がガラッと変わり妊娠に至った症例その2〉
40才 w様
1年前よりタイミング開始。その後体外受精にステップアップ。2度新鮮胚にて移植するも着床せず。
その後鍼灸治療開始。治療2ヶ月目と3ヶ月に採卵するも胚盤胞まで育たなかった。5ヶ月目の採卵にて2ヶ胚盤胞になる。5日目と6日目。
5日目を移植し、無事妊娠。流産経験があったため、12週まで治療継続。無事産婦人科デビューとなったため治療終了となる。

※コメント
5ヶ月目の採卵時に2ヶも胚盤胞になるとはお互いびっくりしました。
おそらくいけるだろうと内心思っていましたがその通りだったですね。
これまでくじけそうになったり、不妊治療をやめようといろいろと悩んでいたようですが良い結果になりました。
6日目胚盤胞は次の子供さんの時に取っておきましょう。
おめでとうございました。

〈統計通りの日数で卵巣の状態がガラッと変わり妊娠に至った症例〉
41才 U様

第2子希望のため約3年前よりタイミング→体外受精をおこなっている。5回目の体外受精で妊娠するもHCGの数値伸びず流産。
第1子も体外受精20回以上おこないやっと妊娠したという。鍼灸で体調を整えて再度挑戦したいと考え当院を受診。
体全体は軟弱な部分多く虚の状態。風邪を良くひく。生理の量は普通。

【治療方針】
卵巣の血流改善、免疫系の賦活による良質の卵子獲得
【経過】
治療期間3ヶ月目に体外受精(採卵数1ケ)トライするも着床せず。引き続き治療をおこない、6ケ月目の採卵時には
3ケ採卵→3ヶ受精→2ヶ胚盤胞まで育ち移植、無事妊娠・心音聴取したので治療終了となった。

※コメント
どちらも自然周期(低刺激)で採卵をおこなっていたのだが、6ヶ月目では今までにない数・状態の卵子が採れたとのこと。
このようにガラッと採卵時や生理の状態など変化したときに移植できると妊娠しやすいようです。
卵子の質から変わるのはやはり5~6ヶ月要するようです。
また週1回の治療を欠かさず、まじめに来院していただいた結果ですね。おめでとうございました。



〈鍼灸治療開始して次周期に妊娠された症例〉

29才 H様

1年前よりタイミングするも妊娠せず。ステップアップも考えているという。
今回も生理がきてしまったので、次周期に向けて鍼灸治療をしてみたいと考え当院を受診。


【治療方針】
全身の機能の賦活、子宮血流の改善
【経過】
4回の治療後妊娠された。

※コメント
不妊鍼灸をおこなっているとこのように時々数回の治療にて妊娠される方に出会う。(非常に少数)
治療後から『体全体がぽかぽかしていた』とか『汗をかくようになった』とか『おしっこが大量にでるようになった』とか何らかの体の変化があったと言われます。
これはイメージとしてたくさんの歯車の中でほんの一か所の小さいところが外れていただけで今まで妊娠に至らなかったような方だと考えています。
おめでたいことなんですが、こっちも拍子抜けするぐらいにあっという間に妊娠に至る方もいます。
でも本当に『まれ』な例ですね。

〈鍼灸治療と自宅のお灸により妊娠された症例〉

34才 B様

第2子妊娠希望
2年前より体外受精で治療。1度妊娠するも稽留流産。
ここ1年は体外受精しているが着床すらしないとのことで不安になり当院へ受診
体全体の機能が低下、足の冷えが著名。いわゆる東洋医学的には『気虚』の状態

【治療方針】
体全体の機能を上げ温かくする、子宮の血流改善し卵子の質を向上させる

【経過】
治療2か月目での体外受精にて着床するも心拍確認できず。
その後しばらくお休み期間を経て不妊治療と鍼灸治療再開。
その3ヶ月後の体外受精にて妊娠された。

※コメント
ここ1年着床すらしなかったのに鍼灸治療を開始してそうそうに着床した。残念ながら心拍は確認できなかった。
これは卵子の質を改善させるためにはもう少し治療期間が必要であり、着床の要因はそれ以外の因子、特に子宮環境が改善できたためであると考える。
排卵誘発剤の影響か生理の量が少なくなっていたが、鍼灸治療開始して量も増え、色が赤くさらさらになったと喜ばれていたことからも分かる。
2回目の着床時には卵子に影響を与えるに充分な鍼灸治療期間があった。結果として心拍確認され、無事出産まで順調に進んだ。
この方は遠方より来院されたので、2週間に1回の治療となったが、その分自宅でのお灸や生活改善を真剣に取り組んでいただいたことも良い結果につながったものと考えている。


〈お灸中心の治療で妊娠した症例〉

34才 Z様

子供のころのご病気でホルモン療法を行わないと自然周期での生理がこない。妊娠できないかも?ということをご主人が承知の上で結婚された。
妊娠できないと思っていたが、ご主人のためにできることはやってみようと考え、体外受精にチャレンジすることにした。
そのうえで体に良いと考えることはなんでもしてみようと思い来院される。

【治療方針】卵巣および子宮の血流改善と骨盤部から下肢の冷えの改善

鍼灸治療開始した1か月後の生理が赤くさらさらで10代のころのようだとびっくりされる。
3ヶ月後の体外受精にて質の良い卵子も採卵でき、そのまま妊娠出産された。

※コメント
『マジでしんじられないー』と言われた言葉が印象的であった。
鍼は怖いと言われたので、最小限の刺激にとどめ、お灸中心にちりょうさせていただいた。
冷えが顕著な場合はお灸中心でも効果的なのかもしれないと感じた症例であった。
〈子宮内膜症・子宮筋腫もあったが、妊娠した症例〉

36才 U様

不妊治療歴 2年 
タイミング療法(半年)、その後体外受精を行うも(-)その後約1年漢方薬をにてタイミング
鍼灸治療にて体調を整えて再び体外受精にチャレンジしたいと考え来院。

子宮筋腫・子宮内膜症も指摘されている。
非常にストレスがあり、疲れているようであった。また上記の疾患のためか、生理痛や塊などが強い。下肢の筋肉の張りがなく弱い感じを受けた。

【治療方針】交感神経緊張状態の緩和およびストレス状態の緩和、卵巣子宮の血流改善。体力の向上。

鍼灸治療半年後に冷凍保存してあった卵子(鍼灸治療開始前のもの)を移植するも(-)
半年後新たに採卵し・移植したところ妊娠した。

※コメント

鍼灸治療開始して早期に夜間のトイレに行かなくなったとのことでした。それまでは毎晩2回はトイレに行っていた。
また生理痛が無くなったことや塊が少なくなったこと、生理の色が赤くなったとのことで、腎臓や子宮卵巣の血流が改善され、
質の良い卵子が採卵できたことにより、妊娠に至ったものと考えられる。
またご自身でも積極的に運動を開始したことも大きかったと考えます。
子宮内膜症などがあると妊娠しにくいとデータで出ているが、無事妊娠された。


〈軽度うつ症状や卵巣機能不全も認めたが妊娠した症例〉

27才 M様

不妊治療歴 3年 タイミング1年半、その後人工授精3回

知人が当院で妊娠したことを知り、鍼灸治療をおこないたいと考え来院。
家庭のゴタゴタでかなり落ち込んでいる。ストレス強い。軽度鬱状態。
問診表でも自律神経や神経症の項目に多数チェックがある。強いストレス状態。
卵巣機能不全・黄体機能不全と診断されており、月経周期は不安定

【治療方針】ストレス状態からの緩和(セロトニン系の不活)自律神経の改善や月経随伴症状の改善

鍼灸治療開始約半年後の体外受精でで妊娠された。

※コメント
ストレス状態が続いている人は脳内のセロトニン系にまで影響し、それがまたさまざまな自律神経症状などの不調をきたす。
卵巣血流は非常に敏感な欠陥により調節されており、ちょっとしたストレス状態で容易に血流が途絶えてしまうような血管といわれている。
鍼通電によりそれが改善したことが妊娠に大きく影響したものと考えられる。
鍼灸を初めて体調が良くなり、明るくなり、軽度鬱症状も改善したことが印象的であった。



〈子宮内膜が改善したため妊娠した症例〉

36才 M 様 事務職
不妊治療歴 2年

ステップアップにて体外受精4回おこなう。内2回着床するも心音聴取できず。
医師より子宮内膜が薄いため(平均6mm)着床しにくいことを指摘される。

【治療方針】子宮内膜への循環を改善させて内膜を厚くさせる。

鍼灸治療開始後3周期目に1ヶ移殖する。移殖時13mmに改善。
妊娠・心音聴取となり治療終了。

※コメント
この患者様は足・腰の冷えも顕著で、治療後足を含めた体全体がぽかぽかして、それが数日続き、気持ち良いとのことでした。
統計的に8mm以下では優位に妊娠率は下がることが知られています。
20代であれば卵子の勢いがあるので、内膜の厚さはさほど気にしなくてもいいようです。
しかし30代以降はしっかりと子宮内環境にも手当が必要なようです。

〈卵管の通りが良くなり自然妊娠に至った症例〉

26才 Y様 専業主婦

不妊治療歴 1年

4年前 第1子出産
2年前 子宮外妊娠
1年前 卵管造影に右の卵管の通りが悪いことを指摘される。
その後タイミング療法約1年妊娠せず来院。排卵は通りの悪い右からがほとんど。
【治療方針】①右の卵管の通りを良くする。②左からの排卵回数を増やす。

治療開始後2周期めで左から排卵される。妊娠に至らなかったが鍼灸の効果に!される。
3周期目排卵直前の検診で左右の卵胞ともに20mmを超えており今回はどちらかわからないとのこと。
結局右からの排卵だったようですが、無事妊娠。治療終了。

※コメント
鍼灸にて卵管の血流が改善された結果、通りにくい卵管に何らかの影響を与えたものと推測されます。
またほとんど排卵されなかった左の卵巣が動き出したのが印象的でした。
さまざまな理由により通りが悪い側や癒着、切除などの一側ばかり排卵するので困っているという患者様も結構多いようです。
排卵決定に関してどのようにして左右の卵巣が選択されるかは未だ不明ですが、鍼灸治療により眠っていた卵巣が動きだすことも多いようです。
癒着や切除側と反対側からの排卵回数が増えるだけで、妊娠のチャンスは増えるものと考えます。

〈交感神経緊張状態の緩和により妊娠に至った症例〉

36才 B様 看護師

不妊治療歴1年

この間タイミングと人工授精6回も妊娠せず。体外受精へステップアップする前に体調を整えたいと考え来院。
頭痛・肩こり・不眠・胃腸障害。足の冷えなど存在
【治療方針】交感神経緊張状態の緩和と胃腸機能の改善

治療期間約3ヶ月後最初の体外受精にて妊娠。治療終了。

※コメント
体外受精の成功率は30パーセント前後ともいわれており、たまたま初回で妊娠されたのかもしれません。
しかし治療を開始して肩こりや頭痛(毎月のように首や肩に注射してもらい対処していた)が消失・胃腸の具合・足の冷えが改善し、
いらいらすることが少なくなったそうです。
なによりご主人とケンカしなくなったそうです。
治療前は明らかにストレスによる交感神経緊張状態でした。
この状態が続くと
①卵巣血流が減少(栄養不足に陥るほどの減少となることが研究で明らかになっています)
②エストロゲン分泌も減少することが明らかになっています。
(子宮も減少しますが卵巣ほど顕著ではないようです。)

鍼灸治療により愁訴が改善したこと、これは交感神経緊張状態が緩和された結果で3あり、体外受精に向けての体づくりのお手伝いができたかと考えております。


〈漢方薬との併用にて妊娠に至った症例〉

36才 M様 事務職

不妊治療歴4年 ICSIの段階

生理不順 月経量も少なく色も黒い・冷え・胃腸障害・肩こり・頭痛
約1年の鍼灸治療にて愁訴も改善してきた。足先の冷えだけ頑固に残り、黄体期も12日と若干短くギザギザな周期もあった。
そこで漢方薬との併用を試みた。
結果6ヶ月後ICSIにて妊娠、鍼灸治療終了。

※コメント
鍼灸治療にて卵子のグレードや子宮内膜の厚さなど改善したものの妊娠に至らなかったのですが、漢方薬との併用にて最終的には無事妊娠となりました。
一般的に不妊治療をおこなっている患者様はサプリメントや漢方薬などさまざまなものと併用しているのが現状です。
当院では内科医(漢方専門医)と連携しており、希望される患者さまには積極的に紹介し、漢方専門医が処方する漢方薬でお互いの相乗効果を高め、妊娠に導くことをおこなっていおります。
これが功を奏した症例でした。


〈根拠に基づいた鍼灸治療にて妊娠となった症例〉

37才 G様 専業主婦

不妊治療歴3年

ICSIで5回内2回妊娠判定陽性も妊娠に至らず。しばらく病院での不妊治療はお休みし、鍼灸でタイミングを取りながら半年後に再度病院での不妊治療を開始するまで体調を整えたいと来院。
事情により6カ月と期間を区切っての治療なので初診時より漢方医に紹介し漢方薬との併用をおこなった。
胃腸障害や皮膚の発疹・肩こりや頭痛などの愁訴も存在。
鍼灸治療開始して愁訴や生理痛などが改善し、6ヶ月後のICSIにて無事妊娠。心音も聴取できたため治療終了となる。

※コメント
さまざまな愁訴が治療開始して改善し、体調がよくなっていくことがはっきりとわかった症例でした。
採卵時は今まで通り1ケしか取れなかったようですが、うまくいきました。
根拠に基づいた治療、選穴を一貫しておこなって妊娠まで至ったことは大きな自信をいただけた患者様でした。
この方への治療が後の当院での治療方法に大きく影響、参考になったのでした