PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の鍼灸

他嚢胞性卵巣症候群とは卵巣で排卵されにくくなる疾患です。

排卵されない卵胞は卵巣にとどまるため、超音波検査でみると、たくさんの卵胞(嚢胞)を認めることが特徴です。男性ホルモンがたくさん作られてしまうせいともされていますがこれは欧米人のPCOSに多く、日本人のPCOSとは若干相違しているともいわれています。

この疾患は糖代謝が深く関与していることがわかっていて日本人に多いのはこのタイプともいわれています。

したがってこのタイプのPCOSの方は糖代謝を改善させることが重要なポイントになります。

このようなタイプの人は以下のような症状があります。

この糖質(炭水化物含む)の問題がかかわっている人は単純に糖質そのものを摂りすぎている人もいれば体質的に糖質の代謝が悪い人などもいます。肥満傾向や近親者に糖尿病の人がいる人がこれにあたります。

  1. おへそ周りが冷たい(自覚がない人でも自分でおへそ周りを触ってみて確認するとびっくりするぐらい冷えている場合もあります)
  2. 食後に眠たくなったり、体が重たく感じたりする
  3. 糖尿病の家系
  4. 背中などの体毛が濃い
  5. 外反母趾傾向

対策

①糖質摂取そのものを減らす。

炭水化物を含む糖質の摂取自体を減らしましょう。もうちょっと食べたい~と思ったら糖質以外のものを食べましょう。お菓子や菓子パンなどもいろんな意味で控えましょう。お酒も控えてほしいのですが、どうしても、という人は焼酎やウイスキーにしましょう。ビール、日本酒は×  

②食べる順番に気をつけましょう。  

 おかず類、できれば野菜から食べて最後にご飯とお味噌汁という順序にしましょう。 日本料理などでもコースの最後にご飯が出るのはインシュリンの分泌を抑制するからという意味もあります。 低インシュリンダイエットと同じ理屈です。  

③運動を始めましょう。

運動をすることで筋肉への糖の取り込みがスムーズになりインシュリンの分泌が少なくてすむようになります。

④鍼灸治療を併用しましょう。  

鍼灸治療には糖代謝を改善させる効果がありますのでこのメカニズムを用いて治療していきます。

研究報告

『多のう胞性卵巣症候群に対する鍼灸治療効果』(磯部 哲也 Bell-net 国際東洋医学センター)

PCOSと診断された21症例が対象 治療前にあらかじめプラノバールでリセットさせ、 月経30日目まで超音波によって卵胞発育、排卵を認めないことを確認 鍼灸治療週1回で計6回行ったのち、プラノバールでリセット その後の月経周期で卵胞発育・排卵確認→有効 認めない場合は鍼灸治療を4回追加 プラノバールでリセットし、その後の周期で確認。 計10回おこなったものの発育・排卵を確認できないものを→無効例 それまでに発育・排卵を確認したもの→有効例 結果: 有効例57.14%(12/21) 成熟卵胞を認めるまでに要した期間は平均20.58日だった。 PCOS症例に対する鍼治療の有用性が示唆された。  

なぜ生理痛になるのか

さて今日は生理痛のお話。

生理痛には鍼灸がとても効きます。

今日はなぜ効くかってことを考えてみたいと思います。

そもそも生理痛は子宮からの痛みで子宮が収縮する際の痛み。

これをまず押さえておきましょう。

以下の画像で確認!
これは右側の子宮筋層が左と比べて黒くなっている部分が分かります。

この画像はT2強調画像といい、水分を白く映すような画像。

したがって黒くなっているのは水分が少なくなっている⇒子宮筋の血流が悪くなり阻血状態になっていると考えます。

血流が悪い状態で筋肉が収縮を強いられている状態。

また子宮の形自体も左右で微妙に違う⇒収縮していることを表しています。
これが生理痛の正体なのです。


子宮の収縮は自律神経が関与しています。

したがって、

①鍼灸で子宮の自律神経を調整して異常な収縮を緩和させる。

②生理前から治療し、子宮の筋肉内に豊富な血流を確保した状態で生理を迎える。

このように阻血状態を回避しておけば生理痛は緩和されます。

鍼灸治療は このようなメカニズムにより生理痛が緩和されるのです。
ぜひ鍼灸治療を試してみてはいかがでしょうか?

非造影MRI 次は何を見る 木戸昌より画像お借りしました。

睡眠を変えると卵子が変わる!子宮が変わる!

今までは健康の基本は食事と運動といわれていました。

現在ではそれに睡眠も加えて健康の3要素といわれるようになりました。
最近の研究でも良質の睡眠が取れてない人に生活習慣病の発生率が高いという報告があります。その結果を受けて、アメリカでは多くの会社が社員の健康維持のため、良質の睡眠を社員が取れているかどうかを別の会社に委託管理させているようになっているそうです。
少しぐらい委託管理料を払っても最終的に社員が体調不良で休んでしまったために生ずる損失よりも会社の利益が大きいということです。さすがアメリカですね。

すなわち単純な睡眠時間ではなく、いかに良質な睡眠を取るか?がポイントなのです。
では良質の睡眠とはどんなものをいうのでしょうか?
22時~2時(22時~3時までという説もあります)の時間に睡眠を取ることが良質の睡眠といわれています。
この時間は脳を含む体の臓器が昼間のさまざまなストレスから解放され、修復される時間なのです。成長ホルモンなどもほぼ同じ時間に分泌されるといわれており、昔から寝る子は育つといわれるのはこのためです。
美容業界では『睡眠のゴールデンタイム』ともいわれています。
美しさを保ちアンチエイジングするのは外見だけではありません。
そもそも肌・皮膚などは内臓の状態を反映します。
美しい肌を保つということは健康な内臓を保つということとイコールなのです。
したがってこの時間にしっかりと睡眠を取るだけで卵巣や子宮にとってもアンチエイジング!若返ることができるということです。
高価なサプリメントをたくさん摂取するのもいいですが、睡眠時間を工夫するだけで卵巣や子宮が若返るなんてこんな良い事はないと思います。

なにより費用がかかりませんからね。

しかし今まで夜型の人は『そんな10時になんか眠たくならない!』という人も多いでしょう。
そんな時は人間の生理学的作用を利用します。
そもそも良質の睡眠にはメラトニンというホルモンの一種が必要になります。
このメラトニンは暗闇から目の網膜に光が当たって約15~16時間後に分泌されるという特徴があります。これを利用します。
朝6時に起床して朝日を浴びれば16時間後すなわち10時には自然とメラトニンが分泌されます。すなわち眠くなるということです。
したがって早寝早起きではなく早起き早寝です。
早く眠るようにしたければ前日にちょっと無理して早起きして朝日を浴びれば自然と早寝ができる⇒良質の睡眠が可能⇒アンチエイジング⇒卵巣・子宮が若返る!
当院の患者さまに伺ってみるとみなさん遅くまで起きていなくてはいけない理由はさまざまあるようですが、それぞれで工夫して少しでも良質の睡眠が取れるようして卵巣・子宮の若返り、アンチエイジングを目指しましょう!

それでもなかなか寝付けない、途中で目が覚めてしまうなど、なかなかすっきり眠れない人は自律神経のバランスが乱れていることが原因の一つです。鍼灸治療で自律神経を整えて良質な睡眠がとれるようにお手伝いします。

生殖医学では32才が節目

当院はかれこれ妊活鍼灸初めて10年以上経過しています。
最近は若い患者さんも本当に多くなりました。
振り返ると10年前は40前後の方が多かったですね。

そもそも若い女性っていくつくらいまでのことをいうのでしょうか?
定義はないですよね当然ですが。

生殖医学領域での若い女性とは・・・

下記の図は少し古いデータですが超有名な統計です。
4つのグラフがありますが、ざっくり言うと年齢と妊娠率とを表した図です。
これでいくと31才・32才ぐらいから急激に生産率(出生率)が低下してきます。
それと同時に流産率(紫色のグラフ)が上昇してきます。
つまり31・32才が一つの区切られる年齢といえます。
逆に言うとそれより若年齢の人は20才前半の人と20才後半の人ではあまり差が無いともいえます。

したがって若い女性は32才未満とも言えるかもしれません。
32才未満の患者さんでも会社の若い新人女性なんかを見て「私はもう年だわ~」ってテンション下がったりあせったりする方が多いです。

32才未満と22才の新卒の女性とは生殖医学領域ではほとんど差がないので安心してください! こんなこと伝えたくて今日はブログを更新しました。
本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。
下記の図は 日本産婦人科学会学会よりお借りしました。

母乳が出るようになるツボ

出産後に母乳の出が悪いことを専門的な用語で乳汁分泌不全といいます。

原因は大きく分けて
①中枢性・・・下垂体の機能の異常により低下しプロラクチン低値によるのが原因
※母乳を作る元のホルモンの出が悪い場合
②末梢性・・・乳腺組織の発育不全、陥没乳頭、扁平乳頭により排出が障害されたもの
※乳首やその中の組織になんらかの問題がある場合
③児性・・・・子供の吸引力の低下、口腔の異常による哺乳障害
※母乳を吸う子供の問題
④社会性・・・仕事の都合などで母乳保育への意欲がないなどの社会的要因
※仕事で授乳できない、胸の形が崩れるので授乳したくないなどの理由 先天的な問題がなく、社会的条件をクリアできる場合は治療対象となるといえます。

治療方法

治療方法は大きく分けて2つ。
①乳房マッサージや他の物理療法
②薬物療法

この①の他の物理療法の中に鍼灸治療が入ります。

明治鍼灸大学(現、明治国際医療大学)の矢野、笹岡らのまとめによると 立浪たか子らの研究では99例を対象にした研究があり、
乳房マッサージ群(50例)と乳房マッサージにツボ刺激を加えた群(49例)との比較研究です。退院後及び出産後1ケ月の乳汁分泌について検討した論文です。
結果、ツボ刺激を加えた群で1回哺乳量60ml以上(充足)に達した症例は有意に多かったと報告されています。
ツボ刺激は円皮鍼で4日~7日貼付
A-中府・三陰交・足三里
B-中府・膻中・少沢
C-中府・膻中・足三里
もっとも効果的だったものはBであった。 その他、和田らの研究や藤木らの研究で用いられた経穴は 膻中・天宗・肩井・内関・合谷・乳根etcです。

あくまでも助産師さんの乳房マッサージなどと併用することが重要です。
またツボ刺激は円皮鍼(ピップエレキバンのようなもの)で非常に軽い刺激ですのでせんねん灸やご主人のマッサージ、ツボ押し棒などでも十分効果が期待できます。

当院ではツボへの鍼灸治療のみを行い、セルフケアの指導をさせていただきます。

卵子が改善されるまでの期間

『不妊の鍼灸治療はどのくらいの治療期間が必要なのですか』

全日本鍼灸学会の統計ではART体外受精レベルの患者さまで平均6.3ヶ月鍼灸を続けると成功率が上昇するというデータが報告されています。

よく漢方薬を飲み続けても妊娠に至るには『体質改善には半年ぐらいはかかりますよ!』
とは良く聞く話です。
どうも6ヶ月というのがキーワードのようです。
ではなぜこのぐらいの期間が必要になるのでしょうか?
『卵子の成長』という視点から少し考えてみましょう。

ここでみなさんに質問です。
『今月排卵される卵子はいつごろから卵巣で準備されるのか?』
医療関係者は当然知っていますが、一般の人ははるか昔に生物や発生学などで学んだことがあるかもしれませんね。
答えは5~6カ月前から徐々に大きくなり排卵されるその周期まで成長し続けます。
卵子は 原始卵胞、一次卵胞、二次卵胞、前胞状卵胞、(初期、中期)胞状卵胞、排卵期卵胞と成熟していきます。
原始卵胞から前胞状卵胞まででなんと3ヶ月以上もかけてゆっくり成長していきます。
前胞状卵胞から初期胞状卵胞まで約25日、そして直径が約2mm~5mmになると
Selectable follicle (選択される可能性のある卵胞)と呼ばれる状態になり、24才~33才までの人なら通常3個~11個あります。
排卵に向かう卵胞はこの中から1個が選択されて排卵されます。この間が月経開始から約2週間で排卵されるのです。
この原始卵胞にはじまり排卵されるその時に向かい少しずつ成長していくまでに実に約5~6ヶ月必要になるのです。
どうですか?約半年というキーワードとつながりましたね。
実は卵子にとっても鍼灸治療にとってもこの半年というのは非常に重要な働きを必要とする期間になります。
それにはなぜ卵はこのように長くゆっくりと成長する必要があるのでしょうか?
ということを考えると少し見えてくるように思います。

卵子がなぜゆっくりと約半年という長い時間をかけてゆっくり成長するのでしょうか?
今回はこれをすこし考えます。

卵子の減数分裂は通常の体細胞分裂と異なり非常に早いスピードで分裂をすることが知られています。
これの意味するところは・・・
通常の体細胞分裂は細胞周囲の環境に影響されながらゆっくりと分裂するのに対し、卵子の場合は周囲の影響を受けずに分裂するということです。
ということは?・・・
あらかじめ遺伝子や細胞に『分裂開始!分化開始!』の号令で一斉にスタートできるようにあらかじめ十分に準備、パワーを充填しておく必要があるということです。
大きな排卵される卵ばかりに注目しがちですが実は受精するまでの準備期間がその卵の将来にとっていかに大切か容易に想像できます。
したがって、この期間にヒートショックプロテインを増大させ、分子シャペロン機能を働かせておくかが、排卵・受精以降に重要になるということです。
この期間に鍼灸治療をおこなう意味がここにあります。

但し、卵子の成長については大きく分けて、
原始卵胞~2次卵胞まではゴナドトロピン非依存性
前胞状卵胞から胞状卵胞まではゴナドトロピン反応性発育
胞状卵胞から排卵まではゴナドトロピン依存性発育
ざっくり言うとこの3つのステージに分かれます。
どのステージから卵が鍼灸治療に反応するかで、良好胚と出会うまでの期間は変わるのでしょう。

『急がば回れ、だったわ!』
うまく妊娠した患者さまが良く言われる言葉です。
いま現在、『分割が途中で止まってしまう』『胚盤胞まで育たない』『グレードが低い』人は良質の卵子を採卵できるように準備をしっかりおこないましょう。
※この期間は病院での不妊治療を中止しましょうということではありません。
いつ良好な卵子が取れるか判らないこと、年齢的なこと等々により病院での不妊治療と併用してください。

最後に
1回2回の短期の治療で卵子の質が変わるわけではありませんが、このように質の良いタンパク質に満たされた、細胞質に満たされた状態で成長させ排卵されるその日を待ちましょう。
そのために鍼灸を活用してみてはいかがでしょうか?
良好胚に出会うまでについてとくにヒートショックプロテイン、分子シャペロン的視点から卵子に注目ついて考えてみました。

ヒートショックプロテインと妊娠

レタスやキャベツを50℃の温度のお湯で洗浄すると日持ちが良くなるというのをご存知ですか?
これは表面の付着物を洗浄するという目的もあるようですが、一番は野菜の持っているヒートショックプロテインを増大させて酸化を防いでいるのです。

ゆで卵を生卵に戻す?こんなことが可能だと思いますか?

理論上は可能であるといわれています。これもヒートショックプロテインのためです。
このヒートショックプロテインとは野菜だけでなく、大腸菌から人間まで生物のほとんどが持っているタンパク質です。
ほとんどの生物が持っているということは、生命維持にとってなくてはならないタンパク質であるということを表しています。
最近の研究でこのタンパク質が妊娠に大きく関与していることが少しずつ明らかになってきています。

では妊娠の話に入る前に少し簡単に、このタンパク質についてご説明させていただきます。

このタンパク質はヒートショックプロテイン(熱ショックプロテイン)とかストレスタンパクとか分子シャペロンという名で呼ばれています。
元々このタンパク質の発見が熱によるストレスに関連することからこのように呼ばれています。
このタンパク質の働きは大きく分けて3つに分けられます。


①ストレスを受けた時に活躍します。

分子レベルでは病気や傷害を受けたということは、その細胞のタンパク質が壊れてしまったことを指します。この壊れたタンパク質を修復したり、修復不可能な場合は自己死(アポトーシス)へ導きます。そして正常なタンパク質に置き換える役目をします。
不良なタンパク質をそのままにしておくとそこからまた新たな病気を引き起こすことになります。
『タンパク質の修理屋さん』です。

②ストレスを受けていない時は通常のタンパク質の生成から移動、廃棄までそのタンパク質の一生に寄り添い良質のタンパク質を生体内で維持できるように働いています。
これを恒常性維持といいます。人間の体は水分を除けばほとんどタンパク質でできています。したがってタンパク質の恒常性維持とは健康維持ということになります。
タンパク質あるところに、陰ひなたに寄り添ってお世話係として存在しています。

③熱耐性効果を持っています。

酵母は通常50℃で死んでしまいますが、前もって37℃で加温してやりヒートショックプロテインを増やしておくと50℃でもほとんど死ななくなります。
人間に置き換えると、強いストレスを受けるイベント、仕事上や受験等々やスポーツの大会試合などの前にこのヒートショックプロテインを増やして臨むと通常受ける傷害、ストレスよりも軽い状態にできます。予防的に働くということです。
つまり人間の生命維持、健康にはその構成要素である正常なタンパク質が必要で、そのためにはこのヒートショックプロテインが必ず必要になるということです。

当然『卵子』もタンパク質でできています。受精後の分割・分化する際には大量のタンパク質が必要になります。
タンパク質が必要ということは?
そうですこのヒートショックプロテインも必要になるということです。

次になぜ自分の卵が『受精卵のグレードが低い』『なかなか卵子が分割しない』『着床しない』ということになるのでしょうか?

卵子について分子レベルで考えてみたいと思います。
なぜ分割が止まるのでしょうか?なぜ胚のグレードがひくいのでしょうか?
例えば『胚盤胞までなかなかいかない!』
っというその多くは受精卵の減数分裂時にチューブリンという部分がうまく遺伝子を引っ張ることができないために遺伝子的にトリソミーとなり分割が進まなくなるといわれています。
このチューブリンは細胞質にあるため、『じゃあ、細胞質を変えてあげよう』ということも考えられているようです。
核置換術なる療法がそれに当たります。
まあいくつか問題もあるようですが。
またミトコンドリアを活性化させて良質の卵子を!という考え方もあります。サプリやお薬でということも取り入れられているようです。
このミトコンドリア内にも当然ヒートショックプロテインがありますね。

したがって細胞質を取りかえるのではなく、このヒートショックプロテインで不良な細胞質のタンパクを修復し、良質のタンパク質により自分の力で分裂させれば良いということです。
じゃあ、どんな時にこのヒートショックプロテインが増えるのでしょうか?
細胞分裂や細胞が分化する際に増加するということはすでに紹介しました。

もうひとつ、熱をはじめ、ストレスが生体に加わった時に増加するのです。これを利用しているのが加温療法とか和温療法になります。これはそのまま熱によるストレスを与えていることになります。
その他、鍼・灸なども体の組織や細胞などには強いストレスになります。
治療されている本人は気持ち良いのですが・・・。
だから・・・『鍼灸治療を活用しましょう』ということになります。
鍼灸治療で胚のグレードがあがる、妊娠する、というのは少しずつ知られてきました。
しかしそのメカニズムについてはほとんどわかっていません。根拠がないから効かないという人もいますが、鍼灸でRCTをするという方法的困難と研究自体が進んでいないということもあるのです。
なんせ鍼灸の研究分野にはなかなか予算がつきませんので、この分子レベルでの高額な研究はなかなか進まないのが現実なのです。
しかし臨床の現場では確実に変化(体調や生理、受精卵のグレード等々)が見られるので患者さまもとても喜ばれています。(何回もチャレンジしている人はモチベーションの維持がこれまた大変ですからね)
また古くから鍼灸のメカニズム(なんで効くの?)の解明にこのヒートショックプロテインが関連しているのでは?と報告されてきました。
近年は筋委縮関連の論文でも明らかにヒートショックプロテインの増加が認められると報告されています。

つまり今までの鍼灸治療で『体調の改善、卵巣・子宮の血流改善、自律神経ホルモン系の改善、免疫系の改善』という効果、メカニズムの他に
ヒートショックプロテインをはじめとする分子シャペロン的な機能を賦活させ良質のタンパク質を持つ卵子を作り、そして妊娠に臨むことができる!
鍼灸はその可能性があるということです。
『不妊の人に鍼灸すると、どこがどうなって妊娠しやすくなるの?』と良く聞かれます。その一つのお答がこれにあたると推測しています。

メニエール病

メニエール病


メニエール病は回転性めまいに難聴と耳鳴が伴っておこるものをいいます。(定型)
ただし回転性めまいのみ、耳鳴・難聴のみの場合もあり、非定型例といいます。
回転性のめまい発作は通常1時間から6時間程度(人により数時間から半日程度の場合もあります)で治まってきます。
内リンパ水腫が原因とされていますが、なぜ水腫になるのかは現在の所不明です。
急性期にはステロイドや利尿剤、吐き気やめまいを押さえる薬が処方されます。

この疾患の場合はある日突然、回転性めまいが出現するため、仕事はもちろん、外出先や旅行先などでの発作への恐怖、不安感が常につきまといます。また無症状の時に予防的に薬を服用するのにも抵抗があり、発作を繰り返すようになります。

通常発作を繰り返すとどうなる?
初期には低音のみの聴力低下⇒進行すると全周波数の聴力低下や健側聴力も低下し、難聴、耳鳴り、補充現象などの症状が固定し不可逆性になります。したがって早期の診断・治療を始めることによって進行をくい止め、または治癒させることが重要になります。

したがってメニエール病に対しては、めまい発作をおこさないような予防的治療がすなわち、患者さんの日常生活の質を上げ、また聴力の低下消失を防ぐことになります。

治療法
急性期:基本的には対象療法となります。
7%重曹水点滴静注(~250ml)
鎮吐薬・抗不安・催眠薬・抗めまい薬・血管拡張薬・ビタミンB
ステロイドなどで治療対処することが多い。


慢性期:
生活指導・心理的アプローチと薬物療法などを組み合わせることでおおむね70%は発作予防に有効であると報告されています。
しかしストレス源を排除することや、心拍数100-120/分の運動を1時間以上週3回以上おこなうことが困難な方も多いのではないでしょうか?
そこで鍼灸治療が重要な役割をします。

セルフチェック

首・肩がこる。特に起床時しばらくは特にその傾向にある。

エラがはっているように見える

口が開けにくい

舌の周辺がガタガタになっている

以上のような所見があれば特に当院の鍼灸治療が有効です。

難聴や耳鳴、めまい感などは1回/週程度の頻度で通院が必要です。
それらが消失すれば1回から2回/月程度の頻度で経過を観察し、徐々に通院感覚を開けていきます。


鍼灸治療はメニエール病にとても有効な治療法の一つです。

当院の症例


症例:42才女性 専業主婦 やや細身
主訴:発症すると6~8時間持続する耳閉感・耳鳴り・嘔気をともなう回転性めまい
現病歴:
X-9年・・・症状出現(1~2回/年)
       各科検査も器質的異常を認めず
       メニエール病(耳鼻科)  
X-3年・・・発作回数増える(2~3回/年)
X-1年・・・7月2回、10月~12月にかけて毎月発作出現
       脳外科異常なし
       耳鼻科再受診、メニエール病と診断             
X年・・・   5月に2回めまい発作
       鍼灸院・整体院に通院も変化なし
       耳鼻科系の鍼灸を希望し来院
治療:当院独自の耳鼻科系疾患のポイントに施術

男性不妊の鍼灸

当院では女性に対してのみではなく、男性不妊に対しての鍼灸治療もおこなっています。
精子の状態が悪いと指摘されている方、いつも顕微授精で体外受精を行っている方、2人目不妊でお悩みの方などは男性側へのアプローチが妊娠への近道かもしれません。

男性不妊の原因はさまざまですが、その中で最も多いのが精子を作る能力の低下です。
原因不明なものが40%(60~80%)と最も多く、ついで精巣静脈瘤が30~40%となっています。



原因不明なものは当然ながらこれと言った決定的な治療法がないので、サプリや漢方薬、日常生活の指導などが行われます。

精子の特徴
下記の図は何も問題の無い人でもその日の体調などにより精液所見が大きく変動することを示した図です。

また実際にAIHで採精した精子について平日仕事前に採精した精子と休日のリラックスした状態で採精した精子と比較すると、休日に採精した精子が状態がよいことは明らかになっています。

このように精子の検査で問題ない人でも状態が悪い日もあり、状態は上下するということを押させておきます。
したがって、鍼灸治療により、なるべくばらつきがないような体にしておくことが重要なことの一つともいえます。

精子の研究


さて現在、精子に対する鍼灸治療の研究から少しずつメカニズムが明らかになってきました。
① 精子の質を向上させること、
鍼灸刺激により精巣血流が改善することで質から改善しようとするもの。
精子は約3ヶ月という期間を経て作られますので、約3ヶ月鍼灸治療期間が必要です。
② 前立腺から分泌される精漿成分が改善され、精子運動率が上昇さようとするもの。
短い期間の鍼灸治療で改善が可能とされています。

引用:明治国際医療大学はり・きゅう学講座と京都府立医科大学泌尿器科学教室(以下 研究グループ)の共同研究で2018年6月15日に「日本アンドロロジー学会第37回学術大会に発表されたもの



精巣静脈瘤に対する鍼灸治療

精索静脈瘤は、一般男性の15%に認められ、男性不妊症患者の40%以上に認められます。



なぜ鍼灸なのか?
精巣静脈瘤は程度により3分類されます。このうちグレード1の軽度なものは手術をしても精液所見は変化がないとされ、手術適応とはなりません。
またグレード3で手術をおこなった結果、精液所見は改善したものの、いまだ正常値よりは低いといった場合などは経過観察のみとなることが多いようです。

したがって男性不妊に対する鍼灸治療の適応は以下の通りになります。
原因不明なもの
精巣静脈瘤のグレード1もしくは手術後

当院の治療ステップ

① 漢方専門医による漢方薬の処方
② 自宅でのセルフ灸
③ 鍼灸治療

このステップで精液所見の経過を観察していきます。

ステップ①  漢方薬

生殖クリニックでは八味丸や補中益気湯などを処方される傾向にあります。当院では提携している漢方医を紹介し、その人にあった漢方薬を処方してもらいます。
奥様がすでに当院へ通院中のご主人場合のみとさせていただいています。特に当院へいらっしゃる必要もありません。紹介状をお渡しして漢方薬を処方していただきます。
処方の内容、治療計画等は提携先の医師と共有しています。

ステップ②  セルフ灸

ツボに印をつけて、自宅でセルフ灸をおこなってもらいます。

ツボの場所 

このツボはあくまでも目安でその人それぞれで少し違います。ツボの位置がずれていると効果がすくないという点が重要です。
腰部のツボは奥様にしていただきますので、一度ご主人と来院していただく必要があります。その際、ツボへのマーキング、お灸の仕方など説明させていただきます。
初診料のみ発生します。

ステップ③  鍼灸

ステップ①~②で効果のない場合は鍼灸治療を行います。数か所の鍼とお灸、スーパーライザ―を併用して行います。通院頻度は1回/週とし、約3か月間必要になります。この間はステップ①②の手法も併用して行い、その後の精液所見の変化を検討します。

体外受精で受精卵の質が悪い、精子の状態が悪い(悪い時があった)、2人目不妊などの方は精子の状態を改善させることが妊娠への近道かもしれません。

当院の症例

ステップ③で精液所見が改善し、体外受精で妊娠出産に至った症例の精液所見の変化

低音型難聴の鍼灸治療

急性低音障害型感音性難聴(低音型難聴)は低音領域の聴力が低下する病気です。

耳鼻科では上記と診断されている場合がありますが、現在ではメニエール病の蝸牛型とするようになっています。

このメニエール病とは回転性めまい発作+耳症状(難聴・耳閉塞感・耳鳴等)が重なりそれが反復するもの。
めまいだけの場合や耳症状のだけ場合も当てはまることもあります。(非定型例といいます)

どのような経過をたどるのか?

この病気は
⇒初期は低音部の聴力低下(めまいは数時間から十数時間で改善)
⇒聴力は比較的すぐ改善する
⇒しばらくして再び発作
⇒低音部の聴力低下(めまいは数時間から十数時間で改善)
⇒これを繰り返すと聴力が改善しにくくなる
⇒悪い耳だけでなく良いほうの聴力も低下して元に戻らなくなる(最終形)
このころにはめまいは起こらなくなる。

このようにこの病気が怖いのは、めまいではなく、聴力低下が固定してしまうように進行する病気ということ。

これを防ぐには早期の診断と治療が必要と言われていますが、
いったんめまい発作が起きると病院でおこなう治療はどこでもほとんど同じで対症療法にすぎません。

したがって根本的治療は非発作時にあるといえます。

いかに発作を起こさないようにするか!
実はこれがポイントなのです。

まずはセルフチェック

首・肩がこる。特に起床時しばらくは特にその傾向にある。

エラがはっているように見える

口が開けにくい

舌の周辺がガタガタになっている

以上のような所見がれば特に当院の鍼灸治療が有効です。

難聴や耳鳴、めまい感などが1回/週程度の頻度で通院が必要です。
それらが消失すれば1回から2回/月程度の頻度で経過を観察し、徐々に通院感覚を開けていきます。

鍼灸治療以外でご自分でできること


基本的にはストレス源の排除と有酸素運動になります。以下の論文を掲載しておきます。
~論文紹介~
生活指導と有酸素運動によるメニエール病の治療

対象は231名(めまいの予後判定は内130名)
①めまいの経過②聴力の経過を観察
観察期間1カ月~1年以上
治療としておこなったこと
生活指導の改善と有酸素運動、そして投薬治療の中止。

【結果】
①めまい・・・約8割が良好(消失・ほとんどない)
②聴力・・・初診時低音障害の改善47.7%、高音33.3%、全音域26.6%
有酸素運動が内耳循環を改善させリンパ水腫を軽減させた可能性を示唆

生活改善に関してかなりきつい内容。
元々メニエール病とストレスは大きく関係しています。
そもそもストレスが関与する病気はストレス源を排除するのが一番の治療。
この研究では男性は職場関連・女性は家族・家庭関連のストレスが多かったとのこと。
しかしこの種のストレス源排除って現実的には結構難しいことが多い。
じゃあ仕事変わればいいの?
じゃあ家庭環境変えればいいの?(離婚?別居?引っ越し?)

そんな簡単にできませんよね~、だから悩むのです。

また運動に関しては
心拍数100-120/分の運動を1時間以上週3回以上おこなっております。
この運動自体も結構な運動量ですが、その時間を作ること自体が生活改善になっているようにも思います。
これらのことで、内耳血流、脳報酬系が改善し、メニエールが改善する可能性が論じられていますがこの論文のように生活改善や運動が可能な人は鍼灸する必要はないと思います。
しかしそれが難しい方は鍼灸治療を試してみましょう。