有痛性下肢筋痙攣の鍼灸治療(太衝穴と曲泉穴への円皮針刺激の効果について)第1回東洋療法推進大会

豊島清史(石川県・とよしま鍼灸院) 

【目的】有痛性下肢筋痙攣とはいわゆる『こむら返り』のことであり、日常臨床でよく遭遇する疾患の一つである。鍼灸治療は有効とされているが、報告は少ない。また、幅広く鍼灸治療を啓蒙していくにあたり誰でも同様の効果が期待できる鍼灸治療が求められると考える。
今回、特定経穴への円皮針刺激により効果のあった5症例を報告し、考察する。


【方法】主訴及び副訴で有痛性下肢筋痙攣を訴えた症例の中から5症例(男性3例、女性2例)に対し、太衝穴と曲泉穴へ円皮針(セイリン社製パイオネックス0.6mm)を用いて効果を検討した。
(症例1)全身的な鍼灸治療+円皮針を貼付した場合としない場合と観察した。
(症例2)肩局所の治療+円皮針で観察した。
(症例3)肩背部、腰部の低周波治療+円皮針で観察した。
(症例4)妊娠後期の有痛性筋痙攣に対して観察した。
(症例5)誰が貼付しても同様の効果があるかを観察した。


【結果】
全症例において有痛性下肢筋痙攣の消失を認めた。


【考察】
太衝穴と曲泉穴への円皮針刺激は有痛性下肢筋痙攣に対して有効で、新卒の鍼灸師でもベテランの鍼灸師でも同じ効果が期待できる方法であることが示唆された。統計では痙攣を経験した人数は多く原因はさまざまであり、QOLの低下をきたす。筋痙攣の発作時、多くはストレッチで改善し予防的には運動療法や患部の保温・薬物療法などが有効とされている。しかし、運動療法や薬物療法に抵抗を示す症例や基礎疾患により薬物療法そのものができない症例もあり長期にわたり苦しんでいる症例も多く、本方法の有用性が期待できる。
 一方、基礎疾患を有する筋痙攣に対しての効果は不明である。しかし糖尿病による循環不全の関与が推測される症例3や症例4のように妊娠後期の痙攣に対しても有効であったので今後も引き続き症例を集積し検討してみたい。


キーワード:有痛性下肢筋痙攣、こむらがえり、円皮針、パイオネックス