保険で鍼灸施術を受ける場合

当院では自費施術の他に保険による鍼灸施術も取り扱っています。

保険施術にもメリット、デメリットがありますので施術を受ける際に参考にしてください。

保険で施術を受けるメリット

安価で施術を受けることができ、お財布に優しく気軽に通いやすい。

デメリット

症状・疾患・施術部位が限定されている

病院での治療と併用できない

保険者(保険証)によっては償還払い(窓口で全額支払った後に自分で請求する)

大きく分けると以上になります。

下記に保険で鍼灸施術を受ける際の詳細について記載してあります。

保険での鍼灸施術をご希望の方は下記をご確認ください。

  1. 病院で当該部位の治療中ではないこと。
  2. 主治医から鍼灸施術に係る診断書・同意書を発行していただけること。
  3. 痛み・しびれなどの症状であること。

上記すべてに該当する場合は保険による鍼灸施術が可能です。

〈保険施術の料金〉

3割負担:492円

2割負担:328円

1割負担:164円となります。

※ただし診断書に記載してある部位以外の施術は自費診療が一部加算されます。

保険者(保険証の種類)によりお取り扱いできない保険者もあります。適応するかお電話にてお問合せください。

下記の詳細も確認の上ご相談ください。

〈詳細〉

①現在、病院で当該部位を治療中ではないこと。

※鎮痛剤、シップなども投薬治療となりますので処方されている期間は保険では鍼灸施術を行うことができません。

ただし、違う部位であれば可能な場合があります。

例:病院では腰の病名で鎮痛剤をもらっているが、首の痛みで鍼灸をしたい=〇

病院では腰の病名で鎮痛剤をもらっているし、腰の鍼灸を保険でしたい=×

※通院中である場合、そちらの治療を中断した場合にかぎり可能になります。

②主治医から鍼灸施術に係る診断書・同意書を発行していただけること。

鍼灸の保険施術に関しては医師の診断書または同意書が必要になります。

なお厚生労働省の通達により整形外科医に限定されているものではありませんので、何科の医師でもかまいません。

普段から風邪薬などを処方されている医師に診断書・同意書の発行をお願いしてください。

③痛み・しびれなどの症状であること。

厚生労働省の通達により鍼灸の保険施術の適応は痛みやしびれなど疼痛疾患に限定されています。

したがって妊活や逆子、自律神経系、耳疾患などでは適応されません。

以上をご確認いただきますようよろしくお願いします。

逆子と診断された時

当院は2002年より逆子外来を開設し、おそらく県内で最も多くの症例数を扱った鍼灸院であると自負があります。

そこでこれまでの振り返りのつもりで、そしてこんなことで悩んでいた人も多いですよって裏話も織り交ぜながら、逆子について書いてみようと思います。

さて逆子は『骨盤位』といいます。横向きは『横位』とも呼ばれますがどちらも逆子と同意義として扱われます。

さてなぜ逆子になるのか?の前に、これをまず押さえておきます。

『お母さんのせいではない!』ということ。

これまで『アイスクリームをたくさん食べ過ぎて冷やしたせいでしょか?』とか、『夏場クーラーで冷やしたせいでしょうか?』などのご質問をたくさんいただきました。


ネットなどでは冷えと逆子と関係あるかの如くの記載があるので、特にそう感じているのかもしれません。
振り返るとアイスクリームを食べていた人は7~8割ぐらいいらっしゃいました。
妊婦さんは暑がりということもありますし、石川県は全国一位のアイスクリーム消費県であるということも影響しているかもしれません。

しかし逆子の原因を冷えとするならば、自然分娩で出産された妊婦さんの冷えと逆子の妊婦さんとの冷えと比較検討しなくてはいけません。

したがって逆子の原因はお母さんの日常生活特に冷えと全く関係がないと言えます。

ではなぜ逆子になるのでしょうか?

これは原因のある場合と、ない場合にわけられます。

もっとも多いのは『臍の緒』が赤ちゃんの体に巻き付いている場合です。
これはエコーなど検診の際にわかる場合もあれば、帝王切開時になって初めてわかる場合もあります。
その他、胎盤の位置の関係、臍の緒が短い、羊水が少ない・多い、子宮の形態異常などがあり、この場合は頭が下になるのは難しいことが想定されます。
また原因のない場合でも、頑として逆子のままということもあります。


これはこの位置が赤ちゃんにとって都合の良い位置であると考えましょう。

こんな例がありました。

当院の逆子の鍼灸をしても改善されず、産科さんで外回転術によりようやく頭が下になった例です。いざ出産の際、赤ちゃんがうまく回旋できずに、緊急帝王切開術になってしまいました。

またこんな例もあります。

外回転術でなんとか頭が下になりいざ分娩の際、赤ちゃんの足に臍の緒が巻いていて、緊急帝王切開になってしまった例です。

お二人ともこんなことなら最初から帝王切開でいけば良かったとおっしゃられていました。

頭が下じゃないと都合が悪いのはすべて周囲の大人の事情で赤ちゃん本人は逆子じゃないと都合が悪いのです。
このように考えてましょう。


ここまでのまとめ

逆子はお母さんのせいではない。
逆子の原は、ある場合(わかる)とない(わからない)場合がある。
頭が下じゃないといけないのは周囲の大人の事情。
赤ちゃんにとって逆子がかえって都合が良いこともある。

逆子と診断された場合、どのような処置があるのでしょうか?


産科では
① 胸膝位(逆子体操)
② 側臥位法
が処方されます。

① 胸膝位(逆子体操)はどういった意図をねらった体操なのでしょうか?
ほとんどの人がわからずこの体操を熱心におこなっているようです。
この体操の目的は骨盤にはまった赤ちゃんのおしりを浮かせて回転しやすくしようという体操です。
そもそも赤ちゃんのおしりが骨盤にはまっていない場合はあまり意味の無い体操ともいえます。

では②側臥位法はどういった意図をねらったものなのでしょうか?
これは赤ちゃんの背中側を上にして寝ることで、前転を促すことを目的にしたものです。
羊水の中の浮いている赤ちゃんは前転しかしないのでしょうか?
後転する場合はないのでしょうか?というような疑問点もあります。

さてこの時注意しないといけないのが、一生懸命にやり過ぎるということです。
『体操をがんばって腰やお腹が張って痛いんです。』
『同じ方向ばかり向いて寝ているので肩や腰が痛いんです』
というかたがちらほらおいでます。

これらは上述したようにそれほど有効性の高いものではありませんが、方法が限られているので、このような指導がされているということを押さえておきましょう。

お母さんがつらく感じるまではする必要はありません。

お母さんがつらい時は赤ちゃんもつらいのです。
両方法ともつらく感じない程度におこなうのが一番良いようです。

その他にはなにがあるのでしょうか?

ここに鍼灸治療が入ってきます。

研究では、ツボの刺激で子宮動脈の血流が改善し、子宮の血流が豊富になることが明らかになっています。

子宮の緊張を取り、回りやすい環境を整え維持し、赤ちゃんが回りたいときにいつでもスムーズに回れるような状態を維持しておくということが鍼灸治療の目的になります。
したがって強制的に回すという治療法では有りませんので、言い換えると非常に安全な治療法とも言えます。

多くの場合、28週の段階で初めて逆子と診断されます。
28週:まだ週数が若いので、心配ないですよ
30週:それではこちら側を下にして寝てみてください(側臥位法)
32週:それでは張り止めと逆子体操(胸膝位)をしてみてください
34週:あと数週間で改善しなければ帝王切開になります。

このような流れになります。


そこでびっくりしてネットを検索し、逆子の鍼灸院を探します。

このため35週前後から鍼灸治療を開始することになります。


可能であれば32週前後で鍼灸治療を開始するのが良いでしょう。なぜなら週数が若いと回るスペースも十分ありますし、特に原因がない逆子の場合でもこの週数で開始することで頭位に改善するかもしれませんから。

実際の逆子の鍼灸施術の動画です。

逆子の鍼灸 – YouTube

とよしま鍼灸院TOP

院長のアメブロでも逆子について紹介しています。

安産のお灸

鍼灸でお産時の痛みが軽くなるってご存知ですか?

お産の時間が短くなることをご存知ですか?

今回はそんなお話をしていきます。お産を迎える人やその家族は誰しも安産を願っています。

でも、そもそも安産ってなんでしょうか?医学的定義はありません。

やはり母子ともに健康であれば、結果として安産と言えるでしょう。

それは当然!でもやっぱり痛みが軽く、短時間で赤ちゃんとご対面できるのをだれでも望むことだと思います。

またお産の痛みは癌の痛みよりも強烈とか男なら気絶するぐらいの痛みとか良く言われます。

分娩に臨む母子ともにできれば楽に生まれるほうが良いと思うのも当然です。

それを鍼灸でお手伝いしましょう!ってことです。じゃあ、本当に鍼灸治療が安産につながるの?その根拠は?それを説明するためにはまず分娩について簡単に整理する必要があります。

まず、分娩は第1期~第3期に分けられます。

分娩第1期は分娩開始から子宮口(子宮頸)が全開大するまでの期間をいいます。陣痛が順調に強くなっている場合、子宮頚管の開大速度は4センチまではじわじわとゆっくり開きますが、4センチを超えたあたりから、急速に開大してゆきます。全開大(10センチ近くひらく)ころには子宮頚部は紙切れくらいの薄さにまで引き延ばされています。ここまでが分娩第1期になります。ここまでの所要時間が初産婦さんで10~12時間、経産婦さんで5~6時間といわれています。分娩所要時間の大半がこの分娩第1期であり、遷延分娩の原因の多くは分娩第1期の延長にあります。理由として最も多いものが微弱陣痛です。また陣痛の痛みは子宮が収縮する痛みで、子宮全体や腰のあたりの痛みになります。分娩の際の痛みは陣痛だけではなく、非常に硬い子宮頚管が開大して行く際の子宮頚管の痛みでもあります。

分娩第2期は子宮頸管開大から胎児が下降して娩出を完了する期間をいいます。分娩第2期の所要時間は初産婦さんで1~2時間、経産婦さんで30分~1時間くらいです。この段階でスムースにいかない原因の一つに胎児の回旋異常があります。複雑な形をした骨盤骨の中心の穴を通過してくるために、胎児は4回の回旋を行う必要があります。この回旋が異常だと分娩の進行が阻害されます。無事に会陰部まで児頭が下降してくると、必要に応じて会陰切開などが追加され、出生となります。臍帯を切断しお母さんとご対面となります。ここまでが第2期となります。

分娩第3期胎児娩出から胎盤の剥離・娩出時に起こる子宮収縮をいいます。平均10分~15分です。 つまり分娩所要時間のほとんどが分娩第1期であり、痛みの原因は陣痛の痛み、つまり子宮が収縮する痛みであり、また引き延ばされる際の痛みであることが分かりました。したがって安産に導く一つの大きな要素は分娩第1期にあることが分かります。この第1期を短くできれば!子宮収縮の痛みが緩和されれば!ということになります。


では文献ではどのようになっているのでしょうか?NICE(英国国立医療技術評価機構)(National Institute for Health and Clinical Excellence, NICEのこと)の陣痛誘発ガイドラインを見てみると・・・ CQ14 指圧・鍼は分娩促進効果があるか? 【推奨】 SP6(三陰交)、LI4(合谷)、BL67(至陰)への指圧・鍼療法は分娩促進効果を期待でき、分娩促進を図る方法の選択肢の一つとして考えられる。

【解説】 NICEでの分娩促進効果について検討されている2文献。NICE以外の文献では、The Cochrane Libraryでの検索で見つかったChungら(2003)の文献を検討。【結果】いずれの論文も鍼や指圧などの刺激を加えた妊婦グループは対照グループに比して出産中の痛みが軽減され、分娩時間も短縮された結果になった。また分娩第1期は短縮されたが分娩第2期~3期は変化なしとの結果でした。痛みについてはVASという痛みの尺度と鎮痛剤の使用頻度などを分娩所要時間はその差とオキシトシンの使用有無を検討しています。いずれも鍼灸グループは効果的だという結果になっています。つまり鍼灸治療は分娩第1期の時間短縮になり、結果として総所要時間の短縮につながり、それに伴う痛みも軽減されるということになります。 鍼灸治療はあくまで自然療法ですので強制的に反応を出させるようなものとは違います。したがって自然分娩を後押しする役目にすぎませんが有害事象もほとんどなく効果的であることが示唆されていますので、どんどん活用していただければと考えます。

当院の安産鍼灸・安産灸の流れ

出産予定日の2週間前に一度治療します。同時に印をつけて自宅でのセルフ灸のやり方などを説明させていただきます。

産科での出産予定日での検診の結果、子宮口の開大がみられていれば、そのまま自宅でのセルフ灸を継続してもらいます。

一方、全く子宮口が開いていなければもう一度治療させていただく場合もあります。

いずれにしても、基本は自宅でのセルフ灸となりますので、お気軽にご相談ください。