逆子と診断された時

当院は2002年より逆子外来を開設し、おそらく県内で最も多くの症例数を扱った鍼灸院であると自負があります。

そこでこれまでの振り返りのつもりで、そしてこんなことで悩んでいた人も多いですよって裏話も織り交ぜながら、逆子について書いてみようと思います。

さて逆子は『骨盤位』といいます。横向きは『横位』とも呼ばれますがどちらも逆子と同意義として扱われます。

さてなぜ逆子になるのか?の前に、これをまず押さえておきます。

『お母さんのせいではない!』ということ。

これまで『アイスクリームをたくさん食べ過ぎて冷やしたせいでしょか?』とか、『夏場クーラーで冷やしたせいでしょうか?』などのご質問をたくさんいただきました。


ネットなどでは冷えと逆子と関係あるかの如くの記載があるので、特にそう感じているのかもしれません。
振り返るとアイスクリームを食べていた人は7~8割ぐらいいらっしゃいました。
妊婦さんは暑がりということもありますし、石川県は全国一位のアイスクリーム消費県であるということも影響しているかもしれません。

しかし逆子の原因を冷えとするならば、自然分娩で出産された妊婦さんの冷えと逆子の妊婦さんとの冷えと比較検討しなくてはいけません。

したがって逆子の原因はお母さんの日常生活特に冷えと全く関係がないと言えます。

ではなぜ逆子になるのでしょうか?

これは原因のある場合と、ない場合にわけられます。

もっとも多いのは『臍の緒』が赤ちゃんの体に巻き付いている場合です。
これはエコーなど検診の際にわかる場合もあれば、帝王切開時になって初めてわかる場合もあります。
その他、胎盤の位置の関係、臍の緒が短い、羊水が少ない・多い、子宮の形態異常などがあり、この場合は頭が下になるのは難しいことが想定されます。
また原因のない場合でも、頑として逆子のままということもあります。


これはこの位置が赤ちゃんにとって都合の良い位置であると考えましょう。

こんな例がありました。

当院の逆子の鍼灸をしても改善されず、産科さんで外回転術によりようやく頭が下になった例です。いざ出産の際、赤ちゃんがうまく回旋できずに、緊急帝王切開術になってしまいました。

またこんな例もあります。

外回転術でなんとか頭が下になりいざ分娩の際、赤ちゃんの足に臍の緒が巻いていて、緊急帝王切開になってしまった例です。

お二人ともこんなことなら最初から帝王切開でいけば良かったとおっしゃられていました。

頭が下じゃないと都合が悪いのはすべて周囲の大人の事情で赤ちゃん本人は逆子じゃないと都合が悪いのです。
このように考えてましょう。


ここまでのまとめ

逆子はお母さんのせいではない。
逆子の原は、ある場合(わかる)とない(わからない)場合がある。
頭が下じゃないといけないのは周囲の大人の事情。
赤ちゃんにとって逆子がかえって都合が良いこともある。

逆子と診断された場合、どのような処置があるのでしょうか?


産科では
① 胸膝位(逆子体操)
② 側臥位法
が処方されます。

① 胸膝位(逆子体操)はどういった意図をねらった体操なのでしょうか?
ほとんどの人がわからずこの体操を熱心におこなっているようです。
この体操の目的は骨盤にはまった赤ちゃんのおしりを浮かせて回転しやすくしようという体操です。
そもそも赤ちゃんのおしりが骨盤にはまっていない場合はあまり意味の無い体操ともいえます。

では②側臥位法はどういった意図をねらったものなのでしょうか?
これは赤ちゃんの背中側を上にして寝ることで、前転を促すことを目的にしたものです。
羊水の中の浮いている赤ちゃんは前転しかしないのでしょうか?
後転する場合はないのでしょうか?というような疑問点もあります。

さてこの時注意しないといけないのが、一生懸命にやり過ぎるということです。
『体操をがんばって腰やお腹が張って痛いんです。』
『同じ方向ばかり向いて寝ているので肩や腰が痛いんです』
というかたがちらほらおいでます。

これらは上述したようにそれほど有効性の高いものではありませんが、方法が限られているので、このような指導がされているということを押さえておきましょう。

お母さんがつらく感じるまではする必要はありません。

お母さんがつらい時は赤ちゃんもつらいのです。
両方法ともつらく感じない程度におこなうのが一番良いようです。

その他にはなにがあるのでしょうか?

ここに鍼灸治療が入ってきます。

研究では、ツボの刺激で子宮動脈の血流が改善し、子宮の血流が豊富になることが明らかになっています。

子宮の緊張を取り、回りやすい環境を整え維持し、赤ちゃんが回りたいときにいつでもスムーズに回れるような状態を維持しておくということが鍼灸治療の目的になります。
したがって強制的に回すという治療法では有りませんので、言い換えると非常に安全な治療法とも言えます。

多くの場合、28週の段階で初めて逆子と診断されます。
28週:まだ週数が若いので、心配ないですよ
30週:それではこちら側を下にして寝てみてください(側臥位法)
32週:それでは張り止めと逆子体操(胸膝位)をしてみてください
34週:あと数週間で改善しなければ帝王切開になります。

このような流れになります。


そこでびっくりしてネットを検索し、逆子の鍼灸院を探します。

このため35週前後から鍼灸治療を開始することになります。


可能であれば32週前後で鍼灸治療を開始するのが良いでしょう。なぜなら週数が若いと回るスペースも十分ありますし、特に原因がない逆子の場合でもこの週数で開始することで頭位に改善するかもしれませんから。

実際の逆子の鍼灸施術の動画です。

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院長のアメブロでも逆子について紹介しています。

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