院長コラム

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舌でわかる不妊の原因

舌の周辺部にギザギザした歯の跡

石川県能美市で開業しているとよしま鍼灸院です。
当院は不妊でお悩みの方、妊活中の方に鍼灸施術をおこなって15年になります。
タイミング・AIH・体外受精などのそれぞれの段階に対してさまざまな鍼灸施術をおこなっています。

今回は妊活さんと舌の関係について紹介します。

鍼灸療法では患者さんの状態や体質などを把握するときの一つに舌を見ることがあります。
これを「舌診」といいます。
今回はこの舌診と妊活さんのことについて紹介していきます。

特に原因不明でなかなか授からない妊活さんや2人目、3人目不妊などでお悩みの方は参考になると思います。

まずはご自身の舌を鏡でチェックしてみてください。


このような舌になっていませんか?

舌の周囲に歯の跡(ギザギザ)がついているのがわかります。

これは東洋医学では「気虚」という状態と捉えます。

わかりやすくいうと、エネルギー不足の状態です。

体がだるい
気力がない
疲れやすい
風邪をひきやすい
などの症状が出やすい状態です。

これは体質的なものもありますが、長引く妊活治療により心身ともに疲弊している方にもみられます。
このような場合、卵の育つスピードが遅くなったり、性周期が長くなったり、生理の量が減ったりすることになります。
また1人目は自然妊娠、体外受精の場合でもスムーズに授かったにも関わらず2人目がなかなかうまくいかないなどといういわゆる2人目不妊で悩むことにもなります。

このような方は鍼灸療法ではまずエネルギー不足の状態を改善させるような施術がファーストチョイスとする方が成績が良いようです。

その後や併用して自律神経の調整、ホルモンバランスの改善、卵巣や子宮の血流改善目的に鍼灸を行うことがより妊娠に導く近道のように考えています。

当院でおこなっている妊活鍼灸においてはこのように現代生理学的鍼灸療法と東洋医学的鍼灸療法を併用することで他院とは違う、もう一段妊娠導きやすい手法を取り入れて施術しています.

つわりの鍼灸

つわりは妊娠中に起こる主に悪心嘔吐などのことをいい、とくに早朝空腹時が多いとされていますが、個人によってさまざまです。

つわりは妊婦の50~80%に起こりますが、50%は14週まで、90%は22週までに消失し、10%は22週以降も続いてしまうとされています。

さてそもそもなぜつわりになるのでしょうか?

免疫説、ホルモン説など諸説ありますが、現在では食欲を低下させることで血中インシュリンの濃度を低下させていること、食物内の毒素が体内に入るのを防いでいることなどにより胎盤形成がスムーズになっているのではないかという説が有力になっています。

研究によるとつわりが流産の確率を現象させているということが明らかになっています。

そもそも生体の反応には必ず意味があります。

つわり症状も上記のような大切な意味がありますが、必要以上の症状は鍼灸にて軽減(生体に必要な分は残存) させることはできます。それによって日常生活をのつらさを軽減 し楽しいマタニティ生活を送るというのが鍼灸治療の意味ともいえます。

使用する主な経穴は内関、裏内庭、豊隆、足三里というツボ。

基本は胃腸症状ということで胃の運動機能に関与する経穴が主になります。

また妊娠中ということでいわゆる卵巣子宮機能関連の経穴も併用することもあります。 いずれもその部位に反応があるところが治療点となります。
ただし研究によると内関というツボは患者さん自身の指圧やバンドが効果的となっていますので、セルフケア


さて今までのつわりに対する鍼灸治療は 「つわり症状を軽減させ、自然に消失するまでの時期を乗り切る」という報告がほとんどになります。
私の希望とすれば・・・ つわりの発症早期より鍼灸治療を行うことで、 22週以降もつづくとされる10%の割合が少なくなる。 (鍼灸してると消失する時期が早くなるんじゃないか?って思ってます) もしくは重症化(妊娠悪阻)の予防になるという報告があるといいなあって思う。 産科医にとってもそちらの方が「おっ!」って興味そそるんじゃないかなあ(QOLも大切ですが)

この手首のツボを押す。 つわり症状がつらい時だけではなく、調子の良い時も押しておくのがポイント!

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クロミッドを理解しよう

当院の妊活中の患者さんはタイミングレベルからARTレベルまでのさまざまです。

その患者さんを見ていると、タイミングレベルでもクリニックによって対応(処方)が違うようですね。妊活って基本はオーダーメイドですので、個人個人といったほうが良いかも知れませんね。

そもそも誘発剤を使用した方が良いのか悪いのか?

しかしそれを考える前に基本的な知識を押さえておきましょう!ってことで、今更感満載なのですがクロミッドについておさらい。

〈臨床効果〉

排卵率60~90%

※生理の量が少なくなる(子宮内膜の非薄化)

おりものが少なくなる(頸管粘液の減少)

これらが妊娠率低下の一因とされる。

累積妊娠率のカーブは6周期以降で漸増、12周期投与以降で平坦化

※長期間の投与で効果の得られない時は他の療法を検討すべき。

原因不明の不妊症へのクロミッドの効果については,

その生産率において無治療群・プラセボ群VS治療群とは有意差がないことがメタアナリシスにより示されている。

※生殖医療の必須知識から抜粋

この薬はもともと頸管粘液を減少させて避妊するという目的で開発された薬らしいです。

したがってクロミッドでおりものが少なくなっている時点で妊娠の邪魔をしている可能性もあるかもしれませんね。これがデメリットになります。

投与には『おりもの』の状態に特に注意が必要な理由はこれですね。

またクロミッド使用している周期は自然周期よりも妊娠率が低かったとの報告もあります。

子宮内膜が原因で妊娠が成立しない(内膜の質が低下?)可能性があるということ。

着床障害を人工的に作っていることになるってこと?

〈これまでのまとめ〉

  1. 排卵していない場合はクロミッドで排卵させることで妊娠率は上がる。
  2. ただし長期投与においては注意を要する。
  3. 統計上は1年以上続ける有益性はなく他の治療を検討すべき。
  4. 原因不明の不妊(排卵しているけど妊娠しない)には投与すべきではない。

ってことなようです。

したがって排卵していて周期が一定であれば、誘発剤は当然必要ないということになります。

しかし排卵しているけどクロミッド投与されている人もいますよね。

それはなぜでしょうか?次にそれを考えます。

排卵はあるけどクロミッドはなぜ?

現実には排卵しているけど妊娠しない患者さんにも投与されている場合、何を狙っているかというと誘発剤の副作用に注目。

複数の卵胞が育ちやすいってこと。

つまりARTでも複数移植することで妊娠率があがるのと同様な理屈で複数の卵胞を育てることにより確率を上げようとしてるのだと指摘されています。

(クロミッド投与による多胎確率は7.5%程度。品胎は0.3%)

この率を高いとするか低いとするか・・・

つまり・・・

タイミングレベルにおいて原因不明の不妊(排卵しているけど妊娠しない)においてクロミッドを投与する目的は複数(2ヶ程度)の卵胞を育てて妊娠率を上げること。

逆に言うと投与しても単一の卵胞しか育つことができなければ、クロミッドを投与する目的は達し得なかったということになります。

自然に排卵している患者さんにクロミッドを投与しても妊娠率が上がるというエビデンスはない!とのこと。

〈まとめ〉

自然排卵している場合、誘発剤を使用する意味は少ない

ただし生殖分野はオーダーメイドの治療ですので、エビデンスがないからといってその人にとって無効とも言えません。

したがってタイミングレベルでの誘発剤はいろいろとあるオプションの中の一つ程度の位置づけでよいのではないでしょうか。

そしてその治療法で妊娠しなければ違うオプションを選択すれば良いのです。

その1つに鍼灸治療もありますよ!ということを紹介がしたかったのでした。

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pcos(多嚢胞性卵巣症候群)の鍼灸

多嚢胞性卵巣症候群とは卵巣で排卵されにくくなる疾患で排卵障害の一つです。

排卵されない卵胞は卵巣にとどまるため、超音波検査でみると、たくさんの卵胞(嚢胞)を認めることが特徴の一つです。

この疾患は糖代謝が深く関与していることがわかっていて日本人に多いのはこのタイプともいわれています。

このようなタイプの人は以下のような症状があります。

この糖質(炭水化物含む)の問題がかかわっている人は単純に糖質そのものを摂りすぎている人もいれば体質的に糖質の代謝が悪い人などもいます。肥満傾向や近親者に糖尿病の人がいる人がこれにあたります。

  1. おへそ周りが冷たい(自覚がない人でも自分でおへそ周りを触ってみて確認するとびっくりするぐらい冷えている場合もあります)
  2. 食後に眠たくなったり、体が重たく感じたりする
  3. 糖尿病の家系
  4. 背中などの体毛が濃い
  5. 外反母趾傾向

対策

①糖質摂取そのものを減らす。

炭水化物を含む糖質の摂取自体を減らしましょう。もうちょっと食べたい~と思ったら糖質以外のものを食べましょう。お菓子や菓子パンなどもいろんな意味で控えましょう。お酒も控えてほしいのですが、どうしても、という人は焼酎やウイスキーにしましょう。ビール、日本酒は×  

②食べる順番に気をつけましょう。

おかず類、できれば野菜から食べて最後にご飯とお味噌汁という順序にしましょう。日本料理などでもコースの最後にご飯が出るのはインシュリンの分泌を抑制するからという意味もあります。低インシュリンダイエットと同じ理屈です。

③運動を始めましょう。

運動をすることで筋肉への糖の取り込みがスムーズになりインシュリンの分泌が少なくてすむようになります。

④鍼灸治療を併用しましょう。

PCOSの鍼灸

PCOSは原因がいまいちはっきりしていないものの筋交感神経活動が亢進していることはわかっています。

そこで鍼灸で筋交感神経の活動を低下させることができればPCOに対して有効な治療法の一つになるということです。

鍼灸すると筋交感神経活動亢進は低下したという研究結果がでています。

性周期の改善が見られた例も報告されています。

使用する経穴と方法は以下の図参照。

TH12〜L2、S2〜S4の神経支配領域にあるツボを選択していますね。

これは卵巣の神経支配を意識したものです。(体制内臓反射)

PCOSは交感神経活動が亢進している。

鍼灸でその活動を低下させることができる。

表面の鍼刺激は効果がなく、筋膜に到達するものの方が効果は高い。

響きがある方が良い。

低周波鍼通電の方が良い。

交感神経の亢進の度合いが強ければ強いほど鍼灸は著効を示す可能性がある。

先行研究から鍼灸によりPCOの約30%以上に性周期の改善が見られる。

卵巣交感神経の活動を調節することで卵巣血流は改善する。

TH12〜L2、S2〜S 4支配領域の経穴を選択する。

PCOが背景にあるとたとえ排卵誘発で例え排卵されていたとしても、PCOがない人に比べて妊娠しにくいといわれています。

鍼灸で交感神経の調整、性周期の改善(約30%)、卵巣血流の改善などの効果を付与でき、結果として妊娠率の上乗せ分を提供できる可能性がありそうです。

とよしま鍼灸院 料金

院長のアメブロ日記・・・こちらではライトな感じで妊活などについて書いています。

なぜ生理痛になるのか

さて今日は生理痛のお話。

生理痛には鍼灸がとても効きます。

今日はなぜ効くかってことを考えてみたいと思います。

そもそも生理痛は子宮からの痛みで子宮が収縮する際の痛み。

これをまず押さえておきましょう。

以下の画像で確認!
これは右側の子宮筋層が左と比べて黒くなっている部分が分かります。

この画像はT2強調画像といい、水分を白く映すような画像。

したがって黒くなっているのは水分が少なくなっている⇒子宮筋の血流が悪くなり阻血状態になっていると考えます。

血流が悪い状態で筋肉が収縮を強いられている状態。

また子宮の形自体も左右で微妙に違う⇒収縮していることを表しています。
これが生理痛の正体なのです。


子宮の収縮は自律神経が関与しています。

したがって、

①鍼灸で子宮の自律神経を調整して異常な収縮を緩和させる。

②生理前から治療し、子宮の筋肉内に豊富な血流を確保した状態で生理を迎える。

このように阻血状態を回避しておけば生理痛は緩和されます。

鍼灸治療は このようなメカニズムにより生理痛が緩和されるのです。
ぜひ鍼灸治療を試してみてはいかがでしょうか?

非造影MRI 次は何を見る 木戸昌より画像お借りしました。